おもちゃではありません 世界の奇妙なマイクロカー 37選 後編

公開 : 2024.12.15 18:25

FMR TG500(1957年)

航空機メーカーとして名を馳せるメッサーシュミットだが、第二次世界大戦が終結すると、小型車開発で知られるフリッツ・フェンド氏と提携し、マイクロカーへの転換を図った。メッサーシュミット初のモデルは三輪車だったが、1957年には四輪のTG500、通称タイガーが登場した。TG500は493ccエンジンにより最高速度135km/hを達成し、FMRブランドから販売された。オープンタイプとクローズドタイプがあり、総生産台数は約450台とされる。

FMR TG500(1957年)
FMR TG500(1957年)

スパッツ(1956年)

スパッツ(ドイツ語でスズメの意)は、モペッタの生みの親であるエゴン・ブルッシュ氏の発案だが、当初は脆弱な構造の三輪車で、販売するにはあまりにも安全性に欠けるとされた。その後、タトラで名を成したハンス・レドヴィンカ氏がスパッツを四輪車に改良し、1956年から1958年にかけて1600台ほど販売した。

スパッツ(1956年)
スパッツ(1956年)

エクサム(1983年)

マイクロカーは現代でも販売されている。実際、フランスではこの手の小型四輪車の市場が長年にわたって盛況を呈している。当然ながらエンジン排気量や性能には制限があるものの、フランスでは14歳から運転免許なしで乗れるのだ。最大手はエクサムで、その最新モデルがこちらのクーペである。

エクサム(1983年)
エクサム(1983年)

リジェ・アンブラ(2008年)

現代の小型四輪車市場におけるもう1つの有力メーカーがリジェである。同社は1970年代にスポーツカーの生産を始めたが、2008年以降はアンブラのような「免許不要のクルマ」に重点を置いている。

リジェ・アンブラ(2008年)
リジェ・アンブラ(2008年)

スマート・フォーツー(1998年)

スマート・フォーツーをマイクロカーと呼ぶかどうかは、意見が分かれるところだろう。1950年代の初代モデルと比較すると、おそらく安全性も、性能も、上質さも桁違いだろう。欧州においては最も安価な部類の小型車として親しまれてきたことから、この特集でも取り上げることにした。残念ながら、2024年春に生産終了している。

スマート・フォーツー(1998年)
スマート・フォーツー(1998年)

レヴァGウィズ(2001年)

レヴァGウィズは、ひどい動力性能、疑問の残る安全性、粗雑なスタイリングなど、昔のマイクロカーに近い精神性を持っている。インド製のバッテリーEVで、2001年から2012年まで生産され、一時期は英国でもよく見かけたものだ。しかし、その後継車であるマヒンドラe2oは、同じような成功を収めることはできなかった。

レヴァGウィズ(2001年)
レヴァGウィズ(2001年)

ルノー・トゥイージー

ルノー・トゥイージーは現代のマイクロカーの代表例である。都市部での移動に最適な2人乗りのEVで、見た目が良く、運転も楽しいが、価格は手頃ではない。このような高額な価格設定は、マイクロカー市場を衰退に追い込んだ原因の1つである。50年後、何台のトゥイージーが生き残っているのだろうか?

ルノー・トゥイージー
ルノー・トゥイージー

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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