大人レゴの秘密 3800ピースで作る究極のマクラーレン ドライブモードも再現

公開 : 2024.12.11 06:05

レゴの「アルティメット・カー・コンセプト」はギミック満載の大人向けシリーズだ。最新モデルである「レゴ・マクラーレンP1」はどのようにして生まれたのか、デザイナーに話を聞いた。

並外れたディテール

2014年のクリスマス当日、15歳の筆者は幸運にも、サンタクロースからレゴ・テクニックのオフローダーをプレゼントされた。

クリスマスから新年にかけてずっと、ダイニングテーブルでブロックの袋から本物のクルマのような模型を組み立てていた。この数日間は熱中しすぎて、まるで溶け合って1日になってしまったかのように感じられた。

レゴ・テクニック・マクラーレンP1
レゴ・テクニック・マクラーレンP1    レゴ

あれから10年が経ち、筆者は今でもレゴに癒やされている。クルマをテーマにしたレゴのセットは、クルマに関する執筆活動という筆者のキャリアの基礎を築いたとも言えるだろう。

デンマークの大手玩具メーカーであるレゴは近年、「レゴ・テクニック・アルティメット・カー・コンセプト」シリーズの一環として超絶技巧のラインナップをリリースし、数々の名車を蘇らせている。

これまでに、ポルシェ911 GT3、ブガッティ・シロン、ランボルギーニ・シアン、フェラーリSP3デイトナが発売されている。フェラーリは、今も筆者の実家のダイニングテーブルに置かれたまま、完成を待っている。ごめんね、お母さん。

これらのセットに盛り込まれたディテールのレベルは並外れており、組み立て難易度の高さから箱の側面には「対象年齢18歳以上」の表示が付いているほどだ。

では、レゴは一体どのようにして、スーパーカーを本格的なテクニックセットに変身させているのだろうか?

最も開発に苦労した部品は…

それを知るために、レゴ・テクニックのデザイナーであるカスパー・レネ・ハンセン氏に話を聞いた。同氏は、レゴの最新アルティメット・カー・コンセプトモデル、1/8スケールの「レゴ・テクニック・マクラーレンP1」の生みの親だ。

「マクラーレンとのコラボレーションは2年ほど前に始まった」とハンセン氏は説明する。「P1の採用が決まった後、2022年12月に開発を開始し、その約1年後に完成した」

レゴ・テクニック・マクラーレンP1
レゴ・テクニック・マクラーレンP1    レゴ

「マクラーレンから提供されたCAD(コンピューター支援設計)ファイルやスケッチ、技術情報を活用して、多くの調査研究を行うことができた。クルマのプロポーションを把握するために1/8スケールのモデルを作成し、その後、試作品の製作に取り掛かった。試作品は20個近く製作した」

ハンセン氏は、レゴP1のディテールのレベルは「他に類を見ない」と主張している。実車から引き継がれた機能の数々を考えると、筆者も同感だ。

レゴP1には、実車のP1と同じ7速トランスミッション(ステアリングホイールの後ろにある小さなパドルでギアチェンジが可能)、ホイール、ディヘドラルドア、可変リアウィング、V8エンジンが搭載されている。

さらに、ドライブモードの実装にも成功した。コックピット内の小さなスイッチを前方に倒すと、トランスミッションとV8エンジンが「始動」し、実車のハイブリッドモードを模した動きをする。

スイッチを後方に倒すと、車体下部の小さな電気モーターが働くEモードに切り替わる。

レゴP1は、既存のレゴ・テクニック部品3800個を駆使して作られており、専用に新しく作られた部品はわずか8個である。中には設計が非常に難しい部品もあり、その1つがホイールだという。

「可能な限り完璧に近づける必要があったため、開発には非常に苦労した。モデルの重量に耐えられること、そしてスポークが折れないよう十分に頑丈であることを確認する必要があった」とハンセン氏は語る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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