ルノー「普通のカタチ」やめて斬新デザインSUVを導入 スタイルと実用性の両立へ

公開 : 2024.12.12 06:05

ルノーは従来型のSUVから離れた、新しいボディ形状を模索している。デザイン責任者のジル・ヴィダル氏は、2028年以降に登場する次世代EVには斬新なボディスタイルが採用されると述べた。

「SUV批判」に対応 新しいアイデアを模索

ルノーのデザイン責任者によると、2028年から登場する次世代モデルは、従来型のSUVから離れた「画期的」なボディスタイルを採用するという。そのデザインのヒントは、10月公開のエンブレム・コンセプトで予告されている。

同社は最近、2028年以降に「新世代」のEVを発売することを明らかにした。新しいプラットフォームをベースとし、効率性と持続可能性において画期的な進歩を見せるとされている。一方で、新型5 Eテックや次期トゥインゴのような個性的なデザインも維持していく。

ルノーの次世代モデルのエクステリアを予告するという「エンブレム・コンセプト」
ルノーの次世代モデルのエクステリアを予告するという「エンブレム・コンセプト」    ルノー

今後のモデルのデザインについて、ルノーのデザイン責任者ジル・ヴィダル氏はこう話している。「コンセプトやシルエットの面で、次のステップをどう構築するかが大きな課題だ。何を象徴するものなのか? 何のためのものなのか?」

同氏は、新しいデザインは「SUV批判」への対応として検討されていると述べたが、「人々は依然としてSUVを求め、時には必要としている。SUVは多かれ少なかれMPV(ミニバン)に取って代わるものであり、実用性を重視して購入する人もいる」と指摘した。

「もっと効率的で、新しいタイプの形状にふさわしいものは何なのか、考えさせられる」

ヴィダル氏は「SUV批判」の一例として、パリ市内での規制を挙げた。パリ当局はボディサイズと車両重量を理由に、SUVに対して高額な駐車料金を導入している。環境や安全面で問題を引き起こしているとして、SUVを締め出す狙いだ。

「SUVに関して激しい論争が続いているが、MPVについても同じことが言えるだろうか? 重量もエンジンもCO2排出量も同じだ。しかし、まっとうなファミリーカーであるMPVを批判する人はいない。攻撃的な外観のクルマを批判する資格などあるだろうか? ただの形状に過ぎない。形やキャラクターを批判できるのか?」

いずれにせよ、「人々は依然として大型車を必要としている」ため、それらに「どのようなキャラクターを与えるか」が現在のルノーの課題だという。

「世界はミニバンや大型のSUV、立派なクロスオーバーを発明した。140年近い自動車の歴史の中で、(アイデアは)すべて出尽くしたような気がする。しかし、新しいものはどんどん発明しなければならない。今日の社会問題に対する、新しくて有意義なコンセプトとシルエットだ」

エンブレム・コンセプトは今後のラインナップを暗示

エンブレム・コンセプトは大胆なクーペSUVの形状をしている。量産バージョンは数年以内に登場する可能性が高いが、ヴィダル氏は今後のラインナップを正確に表現したデザインだと語る。

「エンブレム以前のクルマは、少し誤解を招くものだったかもしれない。5、4、トゥインゴと並んでいるが、5と4はレトロフューチャーなデザインで、トゥインゴは生産が中止されたわけではないが、初代モデルのデザインに戻ろうとしている。しかし、それは大きな誤解を招く。すべてのデザインはそれぞれクルマ固有のものだからだ。ルノーは3台続けて出したので、人々は『これはルノーの新しい取り組みなのか?』と尋ねてくる」

2022年に公開された「セニック・ビジョン・コンセプト」のインテリア
2022年に公開された「セニック・ビジョン・コンセプト」のインテリア    ルノー

「エンブレムは、デザイン面で次なる展開をよりよく表現している。ゆったりとした形状で、ミニマル過ぎず、しかし最新のセニックよりもシンプルだ」

「欧州では、ステーションが次々と姿を消していくのは残念だという声が多いが、EVには低く流線型で実用的な車体が良いと思う。EVのブランドとして、航続距離や自動運転なども重要だ。しかし、同時に美しさも求められる。スポーツワゴンは美しい。寸法やプロポーション、ユーザーにとっての利便性など、賢明で魅力的なクルマを作るにはどうすればいいだろうか?」

エンブレムは将来のエクステリアデザインを予告するものだが、2028年以降のインテリアについては、以前のセニック・ビジョン・コンセプトですでに示されているという。

新世代のインテリアは「簡素化」に焦点を当てており、「画面上のインタラクションを再発明し、安心感や変化をもたらし、『とてもシンプルだ』と思わせること」が課題だとヴィダル氏は述べた。

記事に関わった人々

  • ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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