実用性も◎　穏やかで上品　速くて麗しい

今回試乗したS6はスポーツバックだったが、実用性も間違いない。リアシートで大人は快適に過ごせ、荷室には不足なく荷物を載せられる。開口部は広く、容量はステーションワゴンのアバントと同じ502L。フロント側にも、小さな収納がある。

牽引重量は、最大2.1tまで。ヒッチにはトレーラーではなく、ロードバイク用のラックが装着されることが多そうだが。

印象的な洗練度と、感服するほどの速さが、極めて高次元なパッケージングで融合している。航続距離は651km。電圧800Vのシステムを実装し、急速充電も270kWに対応する。間違いなくこのクルマは、一緒の生活を素晴らしいものにしてくれるだろう。

ただし、ポルシェ・タイカン級に一体感のある操縦性や、ヒョンデ・アイオニック 5 Nのようなドラマチックな体験までは得られない。取締役が乗る社用車には、適しているとしても。

この予算があれば、タイカンやアウディe-トロンGTとも悩める。しかし、S6はそれらと明らかに異なる。スポーツカーを上級モデルにしたのではなく、優れた上級モデルのスポーツ度を高めたような、根底的な差といえる。

小さな違いかもしれないが、明確な意図を感じる。穏やかで上品。速くて麗しい。素晴らしいエクスプレス・アウディだと思う。

アウディS6 e-トロン・スポーツバック・クワトロ・エディション1（欧州仕様）のスペック

英国価格：9万7500ポンド（約1901万円）
全長：4928mm
全幅：1923mm
全高：1487mm
最高速度：239km/h
0-100km/h加速：3.9秒
航続距離：651km
電費：6.1km/kWh
CO2排出量：−
車両重量：2400kg
パワートレイン：非同期モーター（前）＋永久磁石同期モーター（後）
駆動用バッテリー：94.9kWh
急速充電能力：270kW
最高出力：550ps（システム総合）
最大トルク：85.5kg-m（システム総合）
ギアボックス：1速リダクション（四輪駆動）

画像　見事に調教された「野獣」　アウディS6 e-トロン・スポーツバック　競合クラスのEVたち　全137枚