【追記あり】BYD、三菱自にまさかの低評価 コバルトなどEV用バッテリー材料調達で「人権」リスク指摘も
公開 : 2024.12.11 16:56
コバルト採掘の負の側面
世界最大のコバルト産出国はコンゴ民主共和国(DRC)で、そのシェアは約70%にのぼる。バッテリーの主要サプライヤーはすべて、採掘会社が同国で採掘した材料を使用している。
しかし、企業活動を監視する英国のNGO団体、開発における権利と説明責任(Rights and Accountability in Development、RAID)によると、鉱山は数千人の大人と子供たち、そして環境に壊滅的な被害を与えているという。
同団体の代表であるアンネク・ファン・ワンデンバーグ氏は、「コバルト採掘は水資源を汚染している。我々は、汚染が女性や少女の健康に影響を与えていることを発見した。また、汚染がひどく蔓延し、漁師や農家が生活できなくなるという深刻なケースもある」と主張している。
また、RAIDの調査で、EVバッテリー向けのコバルトは「主に安価な労働力と数千人のコンゴ人労働者の搾取システムに依存している」ことが明らかになったという。
採掘会社はこの主張を否定しており、アムネスティ・インターナショナルの報告書に対する回答では、自社のプロセスは「クリーン」で「持続可能」であり、「人権侵害とは無縁」であると述べている。
原文:ジェームズ・ゴードン(James Gordon)
【2024年12月11日 AUTOCAR JAPAN編集部より追記】
AUTOCAR JAPAN編集部では、調査結果に対するコメントを控えていたBYD、三菱自動車に対し、改めてヒヤリング作業を行った。まずBYD(ビーワイディージャパン)からは、「本社に対して記載内容の事実関係を確認中」との回答があったので、進展があり次第、改めてご報告する。
また三菱自動車は本件に対して以下のようにコメントがあったので、全文を掲載させていただくこととした。
当社(三菱自動車株式会社)方針・公式ステートメント
当社は人権方針にも掲げております通り、ステークホルダーの人権を尊重した事業活動を行うこととしており、今回の指摘について真摯に受け止めております。
今回の評価結果は2023年時点の開示内容に基づくものと理解しておりますが、その後に本格的に推進し始めた取組みも多数あり、以下に代表される取組を中心に、急ぎ対応を進めております。
・「人権リスクの特定と評価」
外部専門家の助言を得ながらバリューチェーン上での人権リスクを洗い出し、深刻度と発生可能性の観点から、特に重要な人権リスクの特定し、その防止・軽減策の検討を進めております。
・ 「負の影響の終了、防止・軽減」(サプライヤーへのレバレッジ)
AIを活用して紛争鉱物等に関連するサプライヤーとの繋がりの可能性について分析し、その結果を踏まえてリスクの防止・軽減策を検討しております。
今回指摘頂きましたリスク(EVバッテリーの原材料鉱物のサプライチェーン上における人権リスク)も極めて重要なものと社内で認識しており、予防・是正に向けた対応を強化していきます。
今後も取組の状況についてはサステナビリティレポート等を通じて情報を開示してまいります。
2024年12月11日
三菱自動車株式会社広報部