ロータス・エリーゼのレストモッド 電動・最強のGクラス 英編集部の2024年に「1番好き」な1台!(2)

公開 : 2024.12.27 19:05

ほぼ毎日のように試乗記をお伝えしているAUTOCAR 英編集部が選ぶ、2024年に乗ったクルマで1番好きな1台とは? ホットハッチにミドシップ・スーパーカー、電動SUVまで多彩な顔ぶれに

アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツ

リチャード・レーン(Richard Lane)

実際にステアリングホイールを握るまで、アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツには懐疑的だった。ベースとなったロータス・エリーゼ S1は、多少の慣れは必要ながら、そもそも高次元なミドシップ・スポーツカーだから。

それをベースに、同社は10万ポンド(約1950万円)ものコストを投じ、レストモッドしている。過剰に手が加えられたのではないかと、勘違いしていたからだ。ところが、筆者の読みは完全に間違っていた。

オリジナルのエリーゼ S1は、良好な状態なら公道で格別の体験を与えてくれる。それを超えたとはいえないだろう。だが、近所へサーキットがある環境なら、スーパースポーツで最高の時間を過ごせるはず。

驚くほどダイレクトで生々しいが、全開で周回を重ねても疲労感は最小限。チューニングされたローバーのKシリーズ・ユニットは、7250rpmで213psを絞り出す。アナログ・オートモーティブの仕事は、高く評価できる。

スペックシート上では、その魅力を理解しにくい。しかし実際に走らせてみれば、脳裏に刻まれる経験となる。

メルセデス・ベンツ G 580 EQテクノロジー

マレー・スカリオン(Murray Scullion)

メルセデス・ベンツのGクラスが電動になることを、悲観的に捉える読者もいらっしゃるだろう。それでもG 580 EQテクノロジーは、そもそも向かうところ敵なしといえたオフローダーの、史上最強バージョンといっていい。

メルセデス・ベンツ Gクラス G 580 EQテクノロジー(欧州仕様)
メルセデス・ベンツ Gクラス G 580 EQテクノロジー(欧州仕様)

最高出力は587ps、最大トルクは118.5kg-m。この動力性能は、V8ツインターボエンジンを積む、AMG G 63と殆ど変わらない。

車重は約3tで、電費は3.2km/kWhを超えれば良い程度。合理的な存在とは表現しにくいが、運転してみれば抜群に面白い。オフロードでの走破性は、G 63を凌駕。戦車のように、その場でくるりと360度ターンを披露することもできる。

きついヘアピンでは、内側のタイヤへブレーキをかけることで、ラリーマシンのハンドブレーキ・ターンさながらな方向転換も可能。深夜のショッピングセンターの駐車場で、こっそり試したくなる気持ちも理解できる。

BMW i5 M60ツーリング

ウィル・リメル(Will Rimell)

2024年の1番好きなクルマが、車重2.5tの電動ワゴンになるとは、年始には想像していなかった。しかし、BMW i5 M60ツーリングは自分へ鮮烈な印象を残した。バッテリーEVへ懐疑的なBMWファンの気持ちを、変えられる力があるように思う。

BMW i5 ツーリング(欧州仕様)
BMW i5 ツーリング(欧州仕様)

航続距離は、現実的に450kmを超える。グレートブリテン島を、東から西へ横断するのにも充分。一般道での走りは好印象で、操縦性も素晴らしい。直列6気筒エンジンのモデルと遜色ない安心感や安定性で、大パワーを活かした豪快な加速も披露してくれる。

車内は広く、家族5名での移動は余裕。長距離旅行の荷物も、問題なく積める。M60ツーリングの英国価格は、約11万1000ポンド(2165万円)とお高いが、それを納得させる高級感も与えられている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    役職:主任副編集長
    AUTOCARのオンラインおよび印刷版で公開されるすべての記事の編集と事実確認を担当している。自動車業界に関する報道の経験は8年以上になる。ニュースやレビューも頻繁に寄稿しており、専門分野はモータースポーツ。F1ドライバーへの取材経験もある。また、歴史に強い関心を持ち、1895年まで遡る AUTOCAR誌 のアーカイブの管理も担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、BMW M2。その他、スバルBRZ、トヨタGR86、マツダMX-5など、パワーに頼りすぎない軽量車も好き。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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