公道で満ちるポルシェ911 S/T サーキットで光るアイオニック5 N 英編集部の2024年に「1番好き」な1台!(3)

公開 : 2024.12.28 19:05

ほぼ毎日のように試乗記をお伝えしているAUTOCAR 英編集部が選ぶ、2024年に乗ったクルマで1番好きな1台とは? ホットハッチにミドシップ・スーパーカー、電動SUVまで多彩な顔ぶれに

ポルシェ911 S/T

イリヤ・バプラート(Illya Verpraet)

ポルシェを嫌いな人は、恐らく多くはいらっしゃらないだろう。好きなクルマを思い浮かべる時、含まれる確率は高いのではないかと思う。

ポルシェ911 S/T (英国仕様)
ポルシェ911 S/T (英国仕様)

ポルシェ911 S/Tには、911 GT3譲りの4.0L水平対向6気筒・自然吸気エンジンが載り、ショートレシオ化された6速MTが組み合わされている。これ以外の992型より、しっかりエンジンを味わうことを可能としている。

シフトレバーのストロークは短いが、フライホイールは軽く、変速は少し難しい。それでも、公道で深く満足のいく時間を過ごせる。

ワイドなハイグリップタイヤを履くが、サーキットでも面白い。コーナーでパワーを開放しても、過度なオーバーステアになることはない。グリップ力を活かすというより、ノーズの向きを整えながら、生々しい反応へ惹き込まれる感覚へ浸れる。

大きなリアウイングやフロントスプリッターのない、少しクラシカルな容姿も素晴らしい。試乗車の、ブラウン・レザーとファブリックでコーディネートされたインテリアも、理想的な空間だった。ヘリテイジデザイン・パッケージの1つとのこと。

2024年に期待される、最新の能力や装備はすべて整っている。そこへ、特別さを引き立てるデザインが施されていた。

マイクロ・マイクロリノ

フェリックス・ペイジ(Felix Page)

第二次大戦後のバブルカー、イセッタの現代版は、笑ってしまうような見た目にある。2024年の運転体験で、ベストというわけではない。標準装備や価格価値、快適性や安全性、実用性で秀でているわけではない。動力性能も、ライバルを凌駕はしない。

マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)
マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)

しかし、小さなボディはクルクルと向きを変える。現代のクルマが肥大化し、デジタル化が深化し、スタイリングの個性が薄くなる中で、とても魅力的に感じられた。公道で発揮しきれないほど速いわけではなく、現実的に手の届かない価格でもない。

マイクロ・マイクロリノは、ベーシックなシティカーとして、必要最低限のスペックにある。同時に、プロダクトとしての魅力や、優れた製造品質を備えている。技術的にはモダンで、車重は約600kg。普段使いに困らない駆動用バッテリーが載っている。

大きさは、入り組んだ市街地にピッタリ。2024年は様々なバッテリーEVへ試乗したが、その殆どを上回る特長があると感じた。

走りも充分楽しい。静かで滑らかで、活発に速度を高めていく。運転していると、自然に笑顔になってしまう。その様子を眺める歩行者も、笑顔にできる力がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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