公道で満ちるポルシェ911 S/T サーキットで光るアイオニック5 N 英編集部の2024年に「1番好き」な1台!(3)

公開 : 2024.12.28 19:05

ジャガーXF スポーツブレーク

ジョナサン・ブライス(Jonathan Bryce)

2024年の春に、グッドウッド・サーキットでジャガーXF スポーツブレークへ試乗する機会が偶然あった。メディア向けのイベントで、好奇心から運転してみたのだが、すぐに大好きになってしまった。

ジャガーXF スポーツブレーク D200 Rダイナミック HSE ブラック(英国仕様)
ジャガーXF スポーツブレーク D200 Rダイナミック HSE ブラック(英国仕様)

ステアリングフィールは素晴らしく、サスペンションは路面の凹凸へ見事に対応。大きなボディサイズを感じさせないほど、高速域でも安定していた。

すっかり気に入り、後日スコットランドへの往復に拝借。1900kmをともにしたが、まさに水を得た魚といった感じだった。高速道路では極めて安楽。走り応えがある一般道では、望ましい操縦性を堪能させてくれた。

エンジンはディーゼルで、 スポーツブレークの中の最強ではなかったが、0-100km/h加速7.2秒と不満なし。飛ばし気味に走らせて、18.0km/L近い燃費も得られた。

2024年で生産終了を迎え、新鮮味は薄いといえる。しかし、ジャガーの量産車の節目に相応しいモデルだと思う。こんなステーションワゴンが、英国では新車で4万ポンド(約780万円)で売られていたのだから信じがたい。失うことが残念でならない。

ヒョンデアイオニック5 N

マーク・ティショー(Mark Tisshaw)

ある晩、ロンドン・ガトウィック空港に到着した筆者は疲れていた。駐車場へ停めていた、乗り慣れないヒョンデ・アイオニック5 Nで出発直後、ホイールを縁石に擦ってしまった。最初は右前。ぶつかった、と思って切り替えしたら、今度は左後ろ。

ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)
ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)

幅が広すぎる。ボディが重すぎる。自分のミスを振り返りつつ、養護するようにそんなことを自宅への帰路で考えていた。

翌日は、グレートブリテン島中部のベッドフォード・オートドローム・サーキットで撮影。あまり気が進まない中、アイオニック5 Nで北を目指した。

ところが、サーキットで解き放ったこのヒョンデは、本当に良かった。高速コーナーでも低速コーナーでも、思い切り振り回せた。制御不能に陥ることなく、痛快なドリフトにも延々と興じられた。

電子的・擬似的に再現された、マニュアル・トランスミッションとタコメーター、エグゾーストノートも、アイオニック5 Nの魅力の一部を構成していた。むしろ、エンターテイメント性の主役といっても過言ではないだろう。

電子制御のリミテッドスリップ・デフも素晴らしい。驚くべき敏捷性とラインの調整能力を、大きなバッテリーEVへ与えていた。

フォルクスワーゲンID.バズ GTX

ジャック・ウォリック(Jack Warrick)

筆者は、ドイツ北部のニーダーザクセン州で、フォルクスワーゲンID.バズ GTXを少し長めに運転させてもらったが、完璧な移動手段に思えた。初夏の快晴の田舎道に、この電動ワンボックスは見事にハマっていた。

フォルクスワーゲンID.バズ GTX LWB(欧州仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ GTX LWB(欧州仕様)

339psと56.9kg-mという動力性能は、フォルクスワーゲン・ゴルフ Rより強力。大きな箱型ボディだが、0-100km/h加速は6.7秒で処理する。3列シートで、大人7名が快適に乗れる。

車重は約2700kgあり、フォルクスワーゲンUp!の3台分と重い。馬力から想像するほど速いわけではないが、実用性は無限大といっていい。車内は広々としていて、乗り心地は優しい。個性的なインテリアが、楽しい気分を盛り上げてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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