日産

日産という名称は、日本産業の略称である。初期のエンブレムは赤い円に青い長方形を重ね、そこに社名をアルファベットで記すというものであった。これは日の丸を想起させるデザインである。1990年代には、現代性を表すクローム仕上げとなった。

2020年、カルロス・ゴーン氏のスキャンダルと電動化戦略の刷新を受けて、エンブレムが改訂された。それでも、歴史と伝統を尊重し、「太陽」を表す円と、その太陽を貫くほどの強い「信念」を表す横棒のデザインは変わっていない。日産によると、これは「至誠天日を貫く」という同社の理念を象徴するものだという。

日産
日産

オペル

オペルのエンブレムは、第二次世界大戦後のドイツ復興を支えたブリッツ(Blitz、「稲妻」の意)というトラックへのオマージュである。このエンブレムには、ドイツ語の車名の末尾「Z」と、稲妻の形が組み込まれている。

2023年にはエンブレムが変更され、EV化に重点を置くことを示す新しい「稲妻」のZデザインが採用された。

オペル
オペル

プジョー

プジョーのエンブレムは、後ろ足で立つライオンの姿が長らく親しまれてきた。プジョーが自動車事業に参入するはるか前の1847年にはすでに登場しており、当時は製品の高い品質を象徴するものであった。1923年以降、クルマにはライオンの頭をかたどったボンネット装飾が施されるようになる。1948年、新型203の導入に伴い、馴染みのあるライオンのエンブレムが採用された。これは、創業者の孫アルマン・プジョー氏が生まれたフランスのフランシュ=コンテ地方の紋章を受け継いだものである。デザインは徐々に変化し、より角ばったものになっていった。

2021年には、より高級路線へのシフトを表すものとして、同社の歴史にインスパイアされたレトロなデザインにリニューアルされた。

プジョー
プジョー

ポンティアック

1926年にGMが発表したポンティアックの初期のエンブレムは、ネイティブアメリカンの頭飾りをデザインしたものだった。ポンティアックという名称は、かつてデトロイト周辺で英国軍と戦ったオダワ族の指導者の名前に由来する。しかし、若い世代にアピールしようと、GMは1957年に新しいエンブレムを導入した。これも同じくネイティブアメリカンの伝統の象徴である赤い矢じりを表している。

ポンティアックブランドは2010年に廃止された。

ポンティアック
ポンティアック

ポルシェ

ポルシェのエンブレムは、ブランドの故郷と密接に結びついている。中心には「Stuttgart(シュトゥットガルト)」と書かれ、その下に馬が描かれている。これを囲む4分割の紋章は、1918年のドイツ君主制崩壊後に誕生したヴュルテンベルク自由人民州の紋章から取られたもので、シュトゥットガルトはその州都である。

左上と右下の3本の黒い角の由来は少なくとも10世紀まで遡り、シュヴァーベン地方の広域を意味している。一方、赤と黒のストライプはヴュルテンベルク公爵家のものだ。2023年、同社の75周年を記念してデザインが改められ、色調の変更が加えられた。これは「ブランドの歴史と未来を繋ぐ」ことを意図したものだ。

ポルシェ
ポルシェ

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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