ランボルギーニ・レヴエルト 詳細データテスト V12存続に拍手 驚異の速さ 歴代最高ハンドリング

公開 : 2024.12.14 20:25  更新 : 2024.12.25 05:12

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

従来モデルよりハードウェアが増えたぶん、車両重量は増している。公称値は1892kg、テスト車の実測値は1960kgに達する。

競合するフェラーリSF90ストラダーレは、2021年の実測で1698kgだったが、これはエンジンが小さいことと、3万9000ポンド(約757万円)ほどのアセット・フィオラーノパッケージの恩恵で軽量化されたことによる数字だ。SF90は、レヴエルトと同じ3モーターで、駆動用のリチウムイオンバッテリーは倍近い容量がある。

V12は完全に露出しており、その両脇のメッシュはチタンも選べる。伝統に従いホットモデルにブロンズカラーのカムカバーを装備したら、すばらしい眺めになるだろう。
V12は完全に露出しており、その両脇のメッシュはチタンも選べる。伝統に従いホットモデルにブロンズカラーのカムカバーを装備したら、すばらしい眺めになるだろう。    JACK HARRISON

このほかに計量した1000ps級のスーパーカーとしては、2011年のブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツがある。その重量は1995kgだった。

ボディサイズは、全長がアヴェンタドールより15cmほど長い。ホイールベースは79mm延長された。全高は数cm高いが、シルエットはまさしくランボルギーニらしい。Aピラーは前輪の頂点あたりから伸び、ボディ全体は下向きに傾斜した幾何学的な菱形を描く。

アヴェンタドールと変わった主な点はふたつ。まず、エキゾーストはより高い位置に顔を出す。次に、V12はカバーがない剥き出しだ。

新開発とされるL545型60度V12は6.5Lで、ボアとストロークは従来のL539型と同じだ。表面的には、ブロックを軽量化した旧ユニットに新型のヘッドと吸気システムを組み合わせ、エンジン搭載方向は前後逆となった。しかし、圧縮比は高められ、最高出力は9250rpmで824psを発生する。最高回転数は9400rpmと、スペシャルモデルのエスペランサSCV12と同等だ。

アヴェンタドールのエンジンを再利用しても、ランボルギーニが批判されることはなかっただろう。L539型は2011年に完全新開発され、50年近く基本設計を使い回していたV12を全面刷新したのだから。L545型は少なくとも2030年まで販売される見込みだが、V12としては生産期間は短めだ。

エンジンの向きが変わったのは、前輪をモーターで駆動するから。19kgのアキシャルフラックスモーターを2基搭載し、各150psを発生。3.8kWhのバッテリーは、センタートンネル内に格納される。そのため、センターコンソールに収納部はない。

V12はリアバルクヘッドにほぼ接しており、後輪のみを駆動。アウトプットシャフトはテール側にあり、前方へのビルドライブシャフトは姿を消した。そのため、V12は搭載位置が低くなった。モノフューズレージと銘打った新型シャシーは、フロントサブフレームにフォージドカーボンを採用。ランボルギーニが特許を持つこの素材により、アヴェンタドールのアルミサブフレームより9kg軽くなった。

カーボンのフロント衝撃吸収構造は、ランボルギーニによれば世界初だという。センターモノコックもフルコンポジットで、アヴェンタドールより10%軽い188kgだが、ねじり剛性は25%アップした。

完全新型の8速DCTは、ウラカンの7速ギアボックスより軽いが、193kgというのは、アヴェンタドールの2ペダルMTに比べると2倍以上だ。とはいえ、シフトクオリティやドライバビリティを考えれば、重くてもしかたないと思える。

第3のモーターは、このギアボックスに組み込まれるスターター/ジェネレーターで、システム出力は1015psに達する。もっとも、エンジン単体の824psでもランボルギーニ史上最強だ。

これだけ変化しても、前後重量配分は44:56と、43:57だった2019年のアヴェンタドールSVJとほぼ同等だ。

サスペンションも大きく変わった。アヴェンタドールはプッシュロッド式で、エンジンルーム越しにダンパーとスプリングが見えたが、それは姿を消した。レヴエルトは、一般的なストラットと磁性流体ダンパーを採用している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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