「空気」が決めたカタチ DS最上位モデル「No 8」初公開 航続距離750kmの高級EV

公開 : 2024.12.16 06:25

独自性を強めたインテリアデザイン

その斬新なエクステリアと同様に、インテリアのデザインも既存モデルとは大きく異なる。最も顕著な特徴は、4本スポークのステアリングホイールを採用していること、そしてダッシュボードやドア周りが幾何学的なパネルで覆われていることである。

ミニマルな見た目を追求するため、ダッシュボードから従来型の物理ボタンを取り除き、ほとんどの操作系を16インチのインフォテインメント・スクリーン内に配置した。

DS No 8
DS No 8    DS

No 8には2種類のバッテリーが用意される。エントリーグレードでは、最高出力260ps、最大トルク35.1kg-mのフロントモーターと、74kWhのバッテリーが組み合わされる。航続距離は572km、0-100km/h加速タイムは7.7秒。

ミドルグレードの「ロングレンジ」車は、最高出力280psのモーターと、97.2kWhのバッテリーを搭載する。このバッテリーはフランスに拠点を置くオートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)製で、12個のモジュールで構成されており、各モジュールの重量は34.45kg、航続距離は750kmという優れた数値を実現している。ただし、重量の増加により、0-100km/h加速は7.8秒に遅くなる。

最上位グレードの「AWDロングレンジ」車も同じバッテリーを使用するが、リアアクスルにモーターを追加して四輪駆動とし、合計出力を375psに引き上げている。これにより、0-100km/h加速は5.4秒に短縮されるが、効率が低下し、航続距離は686kmに減少する。

全車、効率性の向上のため、バッテリー残量が低い場合には出力を抑えるようプログラムされている。エントリーグレードでは230ps、ロングレンジ車では245ps、AWDロングレンジ車では350psとなる。

No 8の欧州市場での価格は6万ユーロ(約960万円)から7万5000ユーロ(約1200万円)となる。

AUTOCARは、英国ではより低い価格設定になると予想している。英国におけるDSの年間販売台数は2016年のピーク時の1万5000台から大きく後退し、2024年には1000台強にとどまった。市場での存在感を回復させるため、No 8は比較的安価に販売される可能性が高い。英国への納車は来年末までに開始される予定である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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