1970年代の名車復活 初代フォード・エスコートRSが「新車」で150台限定販売 レトロな2ドア・スポーツ

公開 : 2024.12.13 18:25

英国のボアハム・モーターワークスが初代フォード・エスコートRSを現代的に再設計したモデルを発売する。レストモッドではなく、フォード公式の復刻版である。エンジンは2種類用意されている。

フォード公認の復刻版

英国の新興企業が、大手自動車メーカーの支援を受け、初代フォード・エスコートRSを復活させた。

コヴェントリーを拠点とするボアハム・モーターワークス(Boreham Motorworks)が開発した同車は、「エスコート」という名称とフォードのエンブレムを使用することが公式に認められた稀有なモデルである。

ボアハム・フォード・エスコートMk1 RS
ボアハム・フォード・エスコートMk1 RS    ボアハム

既存のシャシーをベースにしたレストモッドではなく、まったくの新規生産であり、各車両には初代エスコートから引き継いだシャシー番号が付与される。

設計のベースとなっているのは、1975年までエセックス州アヴリーで生産されていた2ドアのエスコートRSだ。ボアハム・モーターワークスは、その外観をデジタルで再現し、コンピューターシミュレーションを駆使して再設計。補強材を追加し、ホイールアーチを拡張するなどハンドリングの向上を図った。また、アルミニウムとチタンでできた新しいリアアクスルを開発し、リアダンパーを従来の傾斜位置からより一般的な垂直方向へと移動させた。

エンジンは2種類用意される。かつてエスコートをレースで勝利に導いた名高いツインカムエンジンの改良版と、フォードの現行車に搭載されているエンジンを改良したものである。

ツインカムは1558ccから1845ccに排気量アップされ、ツインウェーバーキャブレターは燃料噴射装置に置き換えられた。この変更により、最高出力は185psに向上。ストレートカットでクロスレシオのオリジナルの4速トランスミッションを組み合わせ、後輪駆動とした。

現行車ベースのエンジンは、鍛造スチール製コンロッドとビレットクランクシャフトを備えた2.1L 4気筒で、最高出力は300ps、最高回転数1万rpmを誇る。5速ドッグレッグ・トランスミッションが搭載され、公道でもサーキットでも使いやすいようにギア比が設定されている。

オリジナルの運転体験を尊重し、パワーステアリング、アンチロックブレーキ、トラクションコントロールなどは省略されている。また、コイルオーバーサスペンションと、オーバーステアを「制御可能」にするという自動トルクバイアス・リミテッド・スリップ・ディファレンシャルが装備される。

オリジナルのデザインを踏襲

エクステリアはオリジナルを踏襲しつつ、より現代的なスタイルに仕上げた。例えば、クロームメッキのバンパーや方向指示器は取り除かれ、当時のレーシングカーのスタイルに合わせた。また、LEDヘッドライトのデザインは、破片飛散防止のために当時使用されていた十字形のテープを模したものとなっている。

インテリアも新しいデザインだが、6つのメーターが並ぶインパネや2口の中央エアベントなど、オリジナルの要素を引き継いでいる。クライメートコントロールのダイヤルやスイッチ類、アップル・カープレイ搭載の小型タッチスクリーンなど、現代的な装備も備えている。

ボアハム・フォード・エスコートMk1 RS
ボアハム・フォード・エスコートMk1 RS    ボアハム

ボアハム・モーターワークスによるフォード・エスコートMk1 RS(Ford Escort Mk1 RS)は、2025年第3四半期の生産開始に先駆け、来夏に一般公開される予定である。生産予定台数はわずか150台で、抽選販売となる。価格は29万5000ポンド(約5700万円)から。

さらに、同社はフォードRS200も復活させる予定だ。エスコートと同様、「まったく新しい」作品として一から作られる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事