BYDの新たな主力モデル「シーライオン7」 テスラより安価、約870万円で欧州シェア拡大狙う

公開 : 2024.12.16 18:05

BYDは2025年までに欧州市場へ6車種の新型を投入する予定で、その1つとなる電動SUV「シーライオン7」はテスラ・モデルYより安い価格設定となる。

航続距離は最長502km

BYDは、新型SUV「シーライオン7(Sealion 7/海獅07)」の英国価格を4万4990ポンド(約870万円)からと発表し、ライバルであるテスラモデルYを2000ポンド(約38万円)下回る価格設定とした。

シーライオンは、欧州向けのBYD車として初めて、新開発のプラットフォーム「e-Platform 3.0 EVO」を採用した。既存のアット3ドルフィンシールで使用されるe-Platform 3.0の改良版だ。

BYDシーライオン7
BYDシーライオン7

LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーをシャシーに組み込んだセル・ツー・ボディ構造を採用し、複数のモーターレイアウトを用意している。

エントリーグレードの「コンフォート」は、最高出力312ps、最大トルク38.7kg-mのモーターを1基搭載する後輪駆動モデル。82.5kWhのバッテリーにより、航続距離は480kmとされる。車両重量は2225kg、0-100km/h加速タイムは6.7秒を謳う。

ミドルグレードの「デザイン」では、フロントに218psのモーターが追加されて四輪駆動となり、合計出力530ps、最大トルク70.3kg-mを発生する。車重は2340kgに増加し、航続距離は455kmに減少するが、0-100km/h加速は4.5秒となる。

最上位グレードの「エクセレンス」は、デザインと同じ530psのツインモーターと、91.3kWhの大型バッテリーを組み合わせ、航続距離は502kmとされている。車内にはナッパレザーシートやヘッドアップディスプレイなど上級装備を備え、車重2435kgと最も重いが、0-100km/h加速4.5秒を達成する。

コンフォートとデザインの両グレードは、DC充電器で最大150kWの充電が可能で、32分で10〜80%を充電できる。エクセレンスは最大230kWにアップグレードされ、10〜80%の充電時間が24分に短縮される。

従来のヒーターよりも効率的に車内を暖め、寒冷時の航続距離を伸ばすヒートポンプが全車に標準装備される。

インテリアにも新機能を導入

インテリアとしては、新しい音声コントロール・システムを備えた回転可能な15.6インチのインフォテインメント・タッチスクリーンが装備されている。

この音声コントロール・システムは、車内の4つのゾーンから5人の乗員のうち誰が話しているかを検知し、その人が座っている場所に応じた調整を行うことができるという。例えば、後部座席の人が温度を下げるように指示すれば、後部座席のクライメートゾーンが調整される。

BYDシーライオン7
BYDシーライオン7

また、10.25インチのインストゥルメント・ディスプレイ、4つのUSBポート(前方に2つ、後方に2つ)のほか、ビークル・ツー・ロード(外部給電)ソケットも装備されており、車載バッテリーから最大3.3kWの外部機器に電力を供給することができる。

トランク容量は、5人乗車時で520L、後部座席を倒した状態で最大1789Lとなる。

シーライオン7の英国での納車は来年初頭に開始される予定である。

BYDは2025年内に欧州市場で新型の6車種(EV 3車種、PHEV 3車種)を発売する予定で、シーライオン7はそのうちの1台である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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