飛行機は大好きだけど、クルマの方がいい 英国記者の視点 3本立て

公開 : 2024.12.17 18:05

飛行機での移動のわずらわしさから、欧州と英国の往復はクルマの方が魅力的だと英国記者は主張する。加えて、安全装備の過剰な警告音と、テスラのイーロン・マスクCEOに関する記者の意見も紹介する。

時間がかかっても「運転」したい

AUTOCARのスティーブ・クロプリー編集長(英国)は最近、欧州大陸でのイベントからイングランドに帰るときは飛行機よりもクルマを運転して帰る方がいいと言った。たとえ時間がかかってもだ。まったくもって共感である。

筆者がこの原稿を書いている今、飛行機に乗っている。筆者は飛行機が好きだ。空を飛ぶのが好きだし、現代の航空技術は人類の偉大な功績の1つだと思う。地球を小さくし、知識や文化など、ありとあらゆるものをこれまでになく共有できるようにしてくれる。

クルマは改良のたびに新しい機能やデザインが追加されていく。少なくともクルマには設計者の想いが感じられる、と英国記者は言う。
クルマは改良のたびに新しい機能やデザインが追加されていく。少なくともクルマには設計者の想いが感じられる、と英国記者は言う。    AUTOCAR

しかし、その一方で、飛行機への搭乗は筆者にとっては耐え難いものとなっている。搭乗体験はどんどん削ぎ落とされ、顧客が我慢できる「ぎりぎり」のラインまで限りなく近づいているからだ。

それと比べて、自動車業界がやろうとしていることを考えてみてほしい。新型車は基本的に、前のモデルよりも乏しくなることはない。

改良のたびに、本当に必要かどうかは別として、より多くの機能、より洗練された乗り心地、より磨き上げられたデザイン、より多くの「もの」が提供される。筆者は、それが重要なことだと思う。

規制当局や政策立案者の中には、運転という体験をできるだけ悲惨なものにしようとしている人もいるように見える。

しかし、クルマに乗っていると、常に自分の運命をコントロールできていると感じられるし、少なくとも、そのクルマの設計者や販売者は、筆者に楽しい時間を過ごしてほしいと願っていると感じられる。

雑音はいらない

新しい機能や技術がかえって邪魔だと思う人もいるかもしれない。ここでは、欧州の厳しい安全規制と向き合いながら、ユーザーの声を聞き入れたキアの話を紹介したい。

速度制限違反を知らせる警告音は、頻繁に誤って鳴らされるし、速度制限の変更を知らせる警告音は、フロントガラス越しに標識を視認できるにもかかわらず、特に煩わしい。消音するのも難しいどころか、ほぼ不可能だった。

キアEV9
キアEV9

しかし、我々消費者が不満を訴えたところ、キアは耳を傾けた。最新モデルのソレントとEV9の無線アップデートでは、ステアリングホイール上のミュートボタンを長押しすることで、音声による速度制限警告を簡単に無効化(そして、同様に重要なことだが、再度有効化)することができるようになった。

これにより、音声による警告をオフにしたり、必要に応じて再びオンにしたりすることができる。視覚的な合図はそのまま残っている。また、クルマを始動するたびに必ず作動させなければならないという規制に従い、デフォルトでオンに設定されている。

顧客がこれらのシステムをどのように利用したいと考えているか、メーカーも徐々に理解し始めている。しかし、まだ思い違いも多いため、任せっきりにすることはできない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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