【フラットプレーンV8搭載のPHEV】アストン マーティン・ヴァルハラ 世界限定999台で来年度に生産開始

公開 : 2024.12.16 11:45

フラットプレーンV8エンジン

フラットプレーンV8エンジンの点火は、シリンダーバンクを交互に行うことで、クロスプレーンV8エンジンにおける残留ガスの問題を解消。すべてのシリンダーの燃焼がより均一になることで、エンジンの潜在的なパワーを最大限に引き出し、よりシャープなレスポンスを実現する。

新しくなったカムシャフトとエキゾースト・マニホールドにより、ガス交換性能がさらに向上。ピストンは、より高いピーク圧力に対応する設計で、重量も最適化された。

究極のドライバーズ・スーパーカー、アストン マーティン・ヴァルハラ。
究極のドライバーズ・スーパーカー、アストン マーティン・ヴァルハラ。

2基のツインスクロール・ターボチャージャーは、ローラーベアリングマウント方式を採用し、レスポンスがさらに向上し、ターボのコンプレッサーホイールは大径化されており、DBX707に搭載されているアストン マーティンの最強のクロスプレーンクランクV8エンジンと比較して、1時間あたりの空気供給量が約20%増加している。

フロント・アクスルとリア・アクスルは物理的に接続されておらず、代わりに、ヴァルハラの最先端のIVC(インテグレーテッド・ビークル・ダイナミクス・コントロール)とインテグレーテッド・パワーブレーキシステムが、両アクスルを継続的に監視および制御。

フロント・アクスルのトルクベクタリングとリア・アクスルの電子制御リミテッドスリップ・ディファレンシャル(E-デフ)は、動的な要求に応じて四輪の駆動力を調整し、トラクション、安定性、俊敏なハンドリングを見事に融合させることにより、ステアリングの精度が向上し、ニュートラルなハンドリング・バランスが実現する。

パワートレインを完成させるのは、新開発の8速DCTトランスミッションだ。この新型パドルシフトのギアボックスはアストン マーティン専用に設計・製造、ハイブリッド時代に対応する特別開発で、内蔵型の電気モーターが特徴となる。

この電気モーターは、4LツインターボV8エンジンの始動、高電圧バッテリーの充電、エンジンをアシストするトルクフィルに使用され、またギアの同期をサポートすることで、アストン マーティンのエンジニアはギアシフトの特性を調整し、クラス最高水準のシフト速度を実現することが可能だ。

EVモードを選択すると、ヴァルハラはフロント・アクスルのみで駆動。リバースギアはなく、後進はすべてのドライブモードにおいてフロント・アクスルの電気モーターが行う。

冷却にも妥協無し

ヴァルハラは、インテリジェントなトルクフィル、Eブースト、およびロードシフト機能を組み合わせて活用することで、ハイブリッド・パワートレインから最大限の性能と効率を引き出し、すべてのハイブリッド・ドライブモードにおいて、最高のドライビング体験を提供する。

トルクフィルとEブーストは、電気モーターの推進力を活用し、ツインターボV8エンジンの圧倒的なパワーをさらに強化し、パフォーマンスとレスポンスを向上させる。

究極のドライバーズ・スーパーカー、アストン マーティン・ヴァルハラ。
究極のドライバーズ・スーパーカー、アストン マーティン・ヴァルハラ。

この最先端のハイブリッド・パワートレインのメリットは、ドライバーがアクセルを踏み込んだ瞬間に明らかになり、トルクフィルは、ターボチャージャーが要求されるブースト圧を発生するまでの間、電気モーターから瞬時にトルクを供給し、わずかなターボラグであっても解消すると述べている。

Eブーストは、トルクフィルの機能を拡張し、内燃エンジン単体で発生可能な最大値を上回る総合的な駆動力を実現。Eブーストの使用中は、その効果の安定性と維持が管理されており、ロードシフトや回生ブレーキを通じて消費電力を補充される。

DCTに組み込まれたP2.5電動モーターを活用するロードシフトは、エネルギーの消費と使用状況を監視し、エネルギーを最適に蓄積または供給することで最大の効果を発揮。

通常の安定した走行状況では、V8エンジンの負荷を最小限に抑えることで、燃費の改善が可能だ。

負荷が増加した場合には、余剰エネルギーが高電圧バッテリーに蓄積され、エンジンの稼働効率が低下するアイドリング時や、渋滞中の低速でのストップ&ゴーなどでは、エンジンが自動的に停止し、スポーツ・モードを選択中でも電気駆動が作動。

さらに、回生ブレーキは、ブレーキングや減速時に運動エネルギーを回収して高電圧バッテリーに蓄え、後の利用に備えることで効率を向上させる。

ヴァルハラの熱管理を最適化するために車両全体に配した冷却ネットワークが、プラグインハイブリッド・パワートレインを制御し、ドライバーは究極のパフォーマンスを引き出すことが可能となる。

3基の4LツインターボV8エンジン用の高温ラジエーターが、フロントのノーズ部分に設置されており、また、高電圧システム用の小型ラジエーターと、キャビンとバッテリーを冷却する冷媒システム用のコンデンサーも搭載される。

さらに、冷媒システムからの供給により冷却を行うバッテリー用冷却装置は、空気の流れを必要としないためクラムシェル内に隠れる形で配置されており、冷却液はエアコンシステムによって冷却される。

F1に着想を得たルーフスクープは、エンジン真上に取り付けられた2基のエアチャージクーラーに空気を供給。このコンポーネントを設計する際には、新たな取り付け方法を採用し、5kg以上の軽量化を実現した。

この広範な冷却ネットワークは、車体側面に配置された2基のサイドラジエーターにより完成し、これらはドア・ターニングベーンによって車体側面に導かれた空気を使用し、左側のクーラーはエンジンオイル、右側のクーラーはトランスミッションオイルを冷却する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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