駆け抜ける喜びは健在! BMW 330e プラグインHVへ英国試乗 改良でクラスベストへ

公開 : 2024.12.31 19:05

腕と足を前方へ伸ばす低めの運転姿勢

インテリアは、ボディと同じくBMWらしい。製造品質に優れ、高級感に不足なく、デジタル技術の充実度にも満足できる。長時間過ごしたいと思える空間だといえる。

着座位置が低めで、腕と足を前方へ伸ばす運転姿勢は、クルマ好きにとって魅力の1つだろう。ステアリングホイールが自然な位置に伸び、3シリーズにピタッとハマったような印象を受ける。リアシート側は、このクラスとしては平均的な広さだ。

BMW 330e Mスポーツ(英国仕様)
BMW 330e Mスポーツ(英国仕様)

2022年のフェイスリフトで、ダッシュボードには弧を描くワイドなモニターパネルが実装された。オプションで、カラー投影されるヘッドアップ・ディスプレイも追加できる。ステアリングホイールと、送風口のデザインも新しくなった。

実際に押せるハードスイッチは削られたが、エアコンの操作メニューはインフォテインメント用モニターの下部へ常時表示。また、iドライブ用のロータリーコントローラーは残り、操作性は良い。

ソフトウエアは、バージョン8.5。最新機能を使いこなすには、BMWコネクテッドドライブへユーザー登録する必要がある。

荷室容量は、ハイブリッド・システムの都合で削られ、375L。マイルド・ハイブリッドのツーリングの場合、トノカバー下で500Lある。

スポーツサルーンとして楽しめるプラグインHV

それでは、公道へ出てみよう。330eのパワートレインを活かすには、ある程度の理解が必要になる。

シフトセレクター横には、通常のコンフォート、スポーツ、エコプロとは異なる、プラグイン独自のモードボタンが並ぶ。通常はハイブリッド・モード。駆動用バッテリーの充電が続く限り電気メインで走り、その後は4気筒エンジンへ主役が交代する。

BMW 330e Mスポーツ(英国仕様)
BMW 330e Mスポーツ(英国仕様)

この状態で試した結果、エンジンを回さず現実的に80km近くは走れる様子。こまめに充電しようと思わせる距離だと思う。

エレクトリック・モードを選ぶと、僅かに駆動用モーターのパワー感が上昇。市街地をキビキビ巡れ、80km/hくらいまでは余裕を感じる。

スポーツ・モード時は、アクセルペダルをキックダウン・ポイントまで踏み込まずとも、293psを引き出せる。ホットハッチ級に鋭く加速し、トルクも豊か。即時的なレスポンスが、スポーツサルーンらしさを強める。ブレーキペダルの感触も好ましい。

8速ATをマニュアルモードにし、自らギアを選ぶと一層効果的。多くのプラグイン・ハイブリッドが積むトランスミッションより反応は素早く、330eを乗りこなしている印象が増す。以前の直6エンジンのように、惹き込まれるような甘さはないが。

ちなみに、4気筒ターボの320iは低速域でエンジンが頻繁に停止する。183psは、普段使いで充分な力強さ。流れの速い一般道ではやや物足りなく感じるかもしれないが、質感は好ましい。3シリーズへ期待する、楽しさを味わえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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