【殿堂入りレベルの完成度】オートカラーアウォード2024でマツダCX-80がグランプリを受賞

公開 : 2024.12.17 11:45

一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が毎年開催している、優れたカラーデザインのモビリティを顕彰するオートカラーアウォード。26回目を迎える今年はマツダCX-80がグランプリを受賞。そしてスズキ・スイフトが特別賞を受賞しました。

8社12台の頂点はマツダCX-80

日本流行色協会によるオートカラーアウォードは、2023年12月14日から2024年12月末までに購入出来るモビリティであり、日本国内市場向けに生産、販売、輸入されたカラーデザインのうち、事前にノミネートされたものが対象だ。

一般審査員、国内各車両メーカーから選出されたJAFCA自動車色彩文化会審査員の10名、そして様々な分野で活躍しているオートカラーアウォード審査員の投票の合計により、グランプリが決定する。

内田俊一

審査視点は以下の通り。
・市場に影響を与えたか
・モビリティのカラーデザインとして企画、発想が優れているか
・デザインの企画、発想が他業種の手本となりえるか
・従来にない色域に挑戦して成果をあげているか
・狙い通りのカラーが表現されているか
・モビリティ全体でカラーの調和が考えられているか

2024年は8社12台がエントリーし、オートカラーアウォード2024の結果は以下のようになった。

【グランプリ】マツダCX-80 

メルティングカッパーメタリック ブラックインテリア ELEGANCE & EMOTION “デザイナーとペインターの共創と挑戦”

【特別賞】スズキスイフト 

クールイエローメタリック ガンメタリック2トーンルーフ ブラック×ライトグレーインテリア “新しいスポーティー表現 壁を超えるCMF”

銅のイメージを共有すべくオブジェを作成

マツダは2010年以降、カラーも造形の一部という思想のもとにデザイン開発を行っており、このCX-80もその1台だ。デザインコンセプトは上質な落ち着き、存在感を表す『グレースフルタフネス』。魂動デザインの知性・エレガンスさをこのデザインコンセプトと両立させ、SUVとしての力強さを備えながら、豊かで優雅な美しさを表現している。

そのうえでメルティングカッパーメタリックとブラックインテリアのカラーデザインテーマはエレガンス&エモーション、華やぎ・誇らしい大人の色とされた。

マツダ

マツダはこれまでも、「金属感の強い鉄をモチーフにスポーティーなマシン表現をしてきました」と話すのはマツダのデザイン本部プロダクションデザインスタジオカラー&トリムデザイングループに所属する渡邉瑞希さんだ。そしてメルティングカッパーメタリックは、「同じ金属の中でも上品な色味を持った銅をモチーフとすることで、私たちの暮らしを華やかに彩る豊かな色を作ろうと考え、質感表現は生々しい銅ではなく、磨き整えられた滑らかさを目指しました。きめ細かいヘアライン加工が入っているようなイメージで開発しています」という。

この思いを汲み取り共創して表現したのがペインター(色を調合し作り上げる職人)の同社デザイン本部デザインモデリングスタジオハードモデルグループの堤遥加さんだ。試作段階では車格を意識し力強さに重点を置いたため、「豊かさや華やかさが感じられにくく、銅の中でも仏具や銅像のような重みを感じてしまいました」とのこと。そこで原点に戻り、「銅のどのような表情から豊かさや華やかさを感じるのか、モデラーと共創することで一枚の銅板を叩き、模索した結果、ひとつのオブジェを作り上げました。そうすることで、銅の魅力に改めて気づきを得ることができたのです」と話す。

そこから導き出されたのは、「ヘアラインが施されたことで出る滑らかな輝き、黒く落ちすぎない銅特有の滑らかな陰影。素材が持つ華やかで上品な赤み。この3つの要素を重要なポイントに置き、色を作り込んでいきました」と説明。さらに多くの試作を経てたどり着いたのが、このメルティングカッパーメタリックだったのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。

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