ただの「スペイン版VW」ではない 新進気鋭クプラが目指す「刺激的」なSUVとは?

公開 : 2024.12.18 06:05

クプラは次世代モデルとして「セグメントを打ち破る」新型車を2025年より順次導入する計画だ。従来型のSUVから離れ、刺激的なボディスタイルを模索している。

従来型SUVから離れたい

スペインの自動車ブランドであるクプラは、次世代モデルとして「セグメントを打ち破る」クルマや「非常に刺激的なボディスタイル」を導入する予定で、最初のモデルは早ければ2025年に発売される可能性がある。

セアトから独立して6年、クプラは一連のクロスオーバーやハッチバックを世に送り出してきた。現在のラインナップには、レオンアテカといったセアト由来のモデル、ボーンやテラマールなどフォルクスワーゲン・グループの他車と共通化したモデル、フォーメンターのような独立したモデルなどが混在している。

クプラ・テラマール
クプラ・テラマール

しかし、次の世代は既存のセグメントに当てはまらない「象徴的」なモデルになりそうだ。セアトおよびクプラのCEOであるウェイン・グリフィス氏によると、セダンのような従来型のボディタイプは「優先事項ではない」という。

「我々はあえてSUVとクロスオーバーに取り組んできた。なぜなら、そこに市場があり、顧客が求めているものだからだ」と同氏は語る。

「クプラをクールで象徴的な存在にするためには、おそらくどのセグメントにも当てはまらない象徴的なクルマを作る必要がある。我々はセダン、ステーションワゴン、SUVといった従来のセグメントを打ち破るようなクルマも開発している」

「さまざまなものが登場し、さまざまな機会が生まれるだろう。非常に挑発的なボディスタイルもいくつか開発している。うまくいけば、来年にはそのうちの1台をお見せできるだろう」

エモーショナルなクルマを求めて

短い期間に新型車を立て続けに投入し、いくつかのコンセプトカーも披露してきたクプラは、「より多くの量産車種を揃え、投資に充てる資金を稼ぐ」ことを目指している。

グリフィス氏は、「電動化に100億ユーロを投資している。新しいブランドを構築している。すべての投資が利益を生むよう細心の注意を払わなければならない。利益がなければ、それを実行することはできないからだ。開発初期の現時点では、あまり無謀なリスクは取れない」と述べた。

クプラ・ダークレベル・コンセプト
クプラ・ダークレベル・コンセプト    クプラ

2023年に公開されたスポーツカー・コンセプト「ダークレベル」は、先鋭的なデザインで注目を集めたが、市販化の優先順位は低いようだ。しかし、「夢見ることをやめず、野心を抱き続ける」とグリフィス氏は力を込める。

「スポーツカーのダークレベルをはじめ、わたしがぜひ手がけたいと思うような、さまざまな感情をかき立てるクルマは数多くある。しかし、オフロードスタイルのバギーのようなクルマにも挑戦したいと考えている」

「EVになると思うが、きっと楽しいだろう。本当にゲームチェンジャーになると思う。非常にエモーショナルでありながら、街中でも使えるようなクルマだ。ビーチバギーとは違う。アイデアがたくさんあり、突飛なアイデアも多いが、集中し続けなければならない」

2020年代後半に登場する新型のクプラ車は、フォルクスワーゲン・グループの次世代SSPプラットフォームをベースに開発される。このプラットフォームは、小型車からスポーツカーまで、あらゆるモデルに対応している。

2025年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考に残った新型テラマールには、最高出力300psを超えるバージョンが追加されるという。おそらくPHEVとなるだろうが、2027年のユーロ7排ガス規制への適合次第では、アウディRS3などで使用されている2.5L 5気筒エンジンが搭載される可能性もある。

そのようなエンジンは「夢」だとグリフィス氏は言う。

記事に関わった人々

  • マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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