気軽なメルセデス・ベンツ540Kを夢見て クーリエ・キャデラック(1) 社長のワンオフ

公開 : 2025.01.04 17:45

チームは自動車設計未経験 ルーフは維持

開発チームは、自動車設計には無縁だった自社の技術者と、子供用ライドカーの設計経験を持つ人物、メイドメント自身という3名で構成。彼らは中古車市場を探し、インテリアの状態が良い1978年式を別に見つけ出した。

少し無謀な態勢だったことを、彼は後年に認めている。とはいえ、ベース車両のドライバビリティを可能な限り維持しつつ、古いメルセデス・ベンツを再現することへ、果敢に挑んでいる。

クーリエ・キャデラック(1991年/ワンオフモデル)
クーリエ・キャデラック(1991年/ワンオフモデル)

オリジナルの540Kはコンバーチブルだが、ボディ剛性を保つうえで、ルーフを切り取ることは危険だと判断。すぐに、セビルのスチール製ルーフを維持することが決まった。しかし、ソフトトップを背負ったように見えるよう、偽装が施された。

これにより、コンバーチブルへの改造という、技術的なリスクからは開放された。長いルーフは中央でカットされたが、ボディの骨格が残されたことで、セビル本来の登録番号も維持できた。メイドメントは、ロードスターだと晩年まで主張し続けたが。

アルミニウム製のボディパネルは、職人による手仕事。その下側には、セビルのボディシェルが残されていた。リアのサスペンションは、基本的にそのまま。フロントアクスルは、幅が狭く加工されたエンジンルームの前方へ移設されている。

丸いヘッドライトを載せるバーも、剛性を担う構造の一部。エンジンルーム前部を支える、スチール製フレームとなっている。

この続きは、クーリエ・キャデラック(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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