最高峰の能力は一層「盤石」 ランドローバー・ディフェンダー 90へ試乗 オンとオフの高度な二刀流!

公開 : 2025.01.02 19:05

ランドローバーの好調を支えるディフェンダー 2025年の小変更で空力改善 高級感と堅牢性を巧妙に叶えたインテリア オンロードとオフロードの能力を高次元に両立 英国編集部が評価

ランドローバーの一角を支えるディフェンダー

2019年に生まれ変わったランドローバー・ディフェンダーの重要性は、従来以上に増している。2023年の販売数を見ると、レンジローバー・ヴェラールとイヴォーク、ディスカバリー・スポーツを合算した数以上に、ディフェンダーは売れているのだ。

英国では、販売数は増加傾向。高級志向が進み、ちょっと良い仕様を選ぶと10万ポンド(約1950万円)を超えるにも関わらず。ジャガー・ランドローバーにとって、屋台骨の一角を構成している。

ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)

そんな基幹モデルなだけに、6年目となる2025年仕様では大きなアップデートが施された。スタイリングは殆ど変わらないが、インテリアは更に上質になった。

新しく強力なエンジンも導入。英国仕様では、D250かD350が選べる3.0L 6気筒ディーゼルターボと、4気筒ガソリンターボのプラグイン・ハイブリッドが主力になる。V8ガソリンでは、P425とP500の2種類の上に、新しく635psのオクタが登場した。

トランスミッションは、共通でZF社製の8速オートマティック。ローレシオ付きの四輪駆動システムに変わりはない。

2025年の小変更で空力特性が改善

ディフェンダーをおさらいすると、ボディは長さが違う90、110、130の3種類。レトロフューチャーなスタイリングは、登場当初は注目を集めたが、近年では見慣れたように思う。同社のアイコンは、見事に再解釈されたといえる。

空気抵抗を示すCd値は0.40と小さくはないが、フロントガラスは直立に近く、サイドウインドウのラインは低く、テールゲートは横ヒンジ。オリジナルの特徴は、ミニ・クーパーやフィアット500のように、巧みに継承されている。

ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)

今回のアップデートで、ヘッドライトやテールライトの造形へ手が加えられ、空力特性
は改善。その窪みには、汚れが溜まりそうだが。

プラットフォームは同社のD7系で、ボディパネルはアルミニウム製。過酷なオフロード走行を想定し、ホワイトボディはリベットで締結され、前後にはスチール製サブフレームが組まれる。その結果、車高が高い。

牽引重量は3500kgまでで、エアサスを装備し、渡河水深は900mmまで。衝突安全性や多くの豪華装備、快適性を踏まえた結果、外寸はオリジナルから大幅に拡大。真ん中の110では、全長が5018mmある。

高級感と堅牢性が巧妙にバランス

インテリアは、高級感と堅牢性を巧妙にバランス。あえて部分的に露出したボディ塗装やボルト、ハンドル、メーター類などが活かされ、現代的にデザインされている。ご先祖と異なり、製造品質は非常に高い。

レンジローバーやアウディQ7ボルボXC90以上の豪華さとはいえないが、質実剛健なトヨタランドクルーザー 250には勝る。全幅が1996mmもあるから、車内は広々。オプションで1列目を3名掛けにしても、そこまで窮屈さはない。

ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)

運転姿勢は直立気味で、ステアリングホイールは大きく、前方視界は広い。後方は、テールゲートの形状によって死角が小さくないが。

2列目も、シートが大きく快適。足元にも頭上にも、空間的な余裕はたっぷり。荷室も、開口部はやや狭めだが、110以降なら容量に不満はないだろう。130では、2列目が独立した2名掛けになり、3名掛けの3列目へのアクセス性が保たれる。

2025年仕様としては、ヒーター/クーラー内臓の新シートが登場。内装の選択肢にも幅が生まれた。

インフォテインメント・システムも新世代へアップデート。タッチモニターの反応は良く、スマートフォンとの連携にも対応する。エアコンは従来的なハードスイッチで操作でき、ステアリングホイール上にも頻繁に利用する機能のボタンが並ぶ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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