最高峰の能力は一層「盤石」 ランドローバー・ディフェンダー 90へ試乗 オンとオフの高度な二刀流!

公開 : 2025.01.02 19:05

オンロードとオフロードの能力を高次元に両立

それでは公道へ出てみよう。D300との交代で登場したのが、今回試乗したマイルド・ハイブリッドのD350。直6ディーゼルはモデル定番のユニットといえ、改良を受け回転時の滑らかさが増している。オンロードでもオフロードでも、まったく力不足感はない。

燃費も比較的良好。現実的に、平均で11.0km/L位は狙えるだろう。

ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)
ランドローバーディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)

プラグイン・ハイブリッドのP400eも、英国では支持率が高い。2.0Lガソリンターボに駆動用モーターが組み合わされ、システム総合での最高出力は404ps。15.4kWhの駆動用バッテリーを積み、現実的に32km前後を電気だけで走行できる。

V8ツインターボは5.0Lの排気量を活かし、期待通りのたくましさと豊かさ、音響的な楽しさを与える。ただし車重が影響し、猛烈に速いわけではない。燃費は7.0km/Lに届けば御の字だろう。

乗り心地や操縦性は、このクラスのトップ。同社の技術者は、オリジナルのディフェンダーもベンチマークの1つに据えたとしているが、従来の弱点はすべて克服。オンロードとオフロードでの能力を高次元に両立させている。

ステアリングはスムーズに反応し、ロックトゥロックは2.7回転と遅すぎず速すぎず。アクセルペダルも扱いやすく、必要なパワーをすぐに引き出せる。スポーティではないが、姿勢制御と乗り心地のバランスは高い。

操る楽しさを伴う 悪路の走破性はライバル以上

高めの速度域ではボディロールを隠さないものの、充分に抑制され車内は平安に保たれる。オールテレーンタイヤを履いていても、このクラスとしては一体感があり、操る楽しさを伴うといえる。

市街地ではボディがかさばりそうだが、高めの視点で想像以上に扱いやすい。四角いカタチで、四隅の位置も把握しやすい。ホイールベースの短い90の方が、やはり身のこなしは快活。重すぎることもなく、直感的に操縦できる。

ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)

悪路の走破性も間違いない。テレインレスポンス・システムが、スロットル・レスポンスやスタビリティ・コントロールを制御するが、モードを問わず安楽に悪路を処理できる。カメラや水深検出機能などが実装され、身を乗り出して下を確かめる必要もない。

ボディと地面が接する角度は、フロントのアプローチで38度。ホイールベース間のブレークオーバーは28度、リアのデパーチャーで40度もある。

エアスプリングを伸ばすと、最低地上高は291mmへ高まる。いずれもライバル以上といえ、ディフェンダーは、同社の主張どおり本気のオフローダーだ。

英国価格は、ベースグレードの110で6万ポンド(約1170万円)を切る。ただし、装備は基本的に充実しているが、性能と価格はある程度比例する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事