今でも俊足で頼もしい! アウディUrクワトロ UK版中古車ガイド(2) 入手困難な部品多数

公開 : 2025.01.05 17:46

高性能モデルへ決定的な影響を与えた、四輪駆動のアウディ 開発を率いたのはフェルディナント・ピエヒ グループBで大暴れしたスポーツ 11年間続いた生産 英編集部のアドバイスは?

状態が良ければ今でも充分速く頼もしい

伝説的な存在になったUrクワトロだが、状態が良ければ今でも充分俊足。オンロードでの操縦性は非常にタイトで、安定性が高く、路面コンディションを問わず頼もしい。ブレーキも良く利く。ターボラグは、現代のモデルと比べると明らかに大きいが。

歴代のオーナーによって、積極的に乗られてきた例は少なくない。好調な場合は相応に高い価格で売られていることが多いが、正当化できる内容なのか、整備履歴なども含めて丁寧に調べたい。

アウディUrクワトロ(1980〜1991年/英国仕様)
アウディUrクワトロ(1980〜1991年/英国仕様)

稀に、異なるエンジンへ載せ替えられた例もある。VINプレートと、バルクヘッドやエンジンに刻印された番号が一致するか調べたい。丁寧に乗っていれば、前期のWR型では24万km、後期のMB型では32万km程度まで、5気筒エンジンはリビルドの必要はない。

オーバーヒートした形跡がないか、ラジエタークーラントが透き通っているかもチェックポイント。ラジエターは2基備わる。タイミングベルト交換は、5年毎か9万6000km毎が英国仕様では指定されたインターバルだ。

アクセルペダルを軽く傾け、排気ガスが灰色に煙る場合はエンジンオイルが燃えている兆候。バルブガイドやシールが劣化している可能性が高い。白っぽく煙る場合は、ターボやシリンダーヘッドからエンジンオイルが漏れている可能性を疑う。

綺麗なエンジンルームは、愛情が注がれた証拠

エンジンルームは機能性重視で、配管などがごちゃごちゃしている。きれいに保たれている場合は、それだけ愛情が注がれてきた証拠だろう。

WR型ではターボを冷やすため、走行後しばらくはアイドリングを続けたい。水冷化されたMB型のターボなら、そこまで神経質になる必要はないだろう。

アウディUrクワトロ(1980〜1991年/英国仕様)
アウディUrクワトロ(1980〜1991年/英国仕様)

純正のエグゾースト系は主にステンレス製だが、サイレンサーとテールパイプはスチール製。リアサブフレームやデフを交わしており、マージンが狭く、位置がずれるとガタガタと異音を発する。また後期型の触媒は高価。北米仕様は馬力が劣る。

サスペンションやサブフレームのブッシュ、ボールジョイント、ダンパーなどは劣化していて不思議ではない。ブレーキブースターは油圧。リザーバータンクが正しいフルードで満たされているか確かめる。MB型はグリーン、WR型ではレッドの場合がある。

ボディは部分的に亜鉛メッキされており、同時代のモデルの多くより錆びにくいものの、事故などの損傷場所から錆びる可能性はある。フロントガラスの付け根付近でボディが腐食すると、雨水が車内へ侵入し、ECUに悪影響を与えることがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事