充分に濃い「旨味」 ケータハム・セブン CSR 20へ試乗 213psと5速MTに620kg 過去1番に快適!

公開 : 2025.01.01 19:05

ケータハム・セブンに英限定の特別仕様、CSR 20登場 ワイドシャシーにエアロフェンダー リアサスはダブルウイッシュボーン 620kgの車重に213ps 過去1番の快適性 英編集部が評価

ワイドシャシーにエアロフェンダー

20年前に登場したセブン CSRは、ケータハムにとって次代の幕開けを象徴する存在といえた。従来のセブンよりボディが広がり、フロントのダンパーはプッシュロッドで伸縮。サスペンションは独立懸架式で、乗り心地に優れ速かった。

ところが、グレートブリテン島のケータハム・ファンは、「シリーズ」3と呼ばれる、クラシックでベーシックなモデルを好んだ。欧州市場での提供は続いていたが、英国市場での販売は停止していた。

ケータハム・セブン CSRトゥエンティ(英国仕様)
ケータハム・セブン CSRトゥエンティ(英国仕様)

しかしセブン CSRは、世界的に生産が終了する。これを記念し、特別な英国仕様として、セブン CSRトゥエンティ(20)の提供が決まった。20台限定で。凍える12月は、このクルマの試乗に適した季節ではないが、実力を探らずにはいられない。

通常のセブンは、全長が3180mmで、全幅は1470mmと小さい。オプションのワイドシャシーを選ぶと、CSRと同等の大きさになる。全長3360mm、全幅1700mmへ拡大し、あまり見慣れないサイズ感といえる。

CSRの場合、空力特性へ配慮されたフロントフェンダーが与えられ、フロントノーズにはエアインテークが追加される。プッシュロッドで動く、フロントのコイルオーバーダンパーは、その内側に隠れている。

サスペンションアームも、空力的な断面を得る。滑らかなボディはまとっていないが、多少は効果があるのだろう。

リアサスはダブルウイッシュボーン

CSRの大きな特徴となるのが、ダブルウイッシュボーン式のリアサスペンションを採用すること。乗り心地だけでなく、グリップとトラクションにも効果的に機能する。タイヤはウエットが得意ではない、トーヨー・プロクセスR888Rだったが。

エンジンは、2.0L 4気筒のフォード・デュラテックユニット。自然吸気で、最高出力は213ps、最大トルクは20.7kg-mがうたわれる。トランスミッションは、マツダMX-5(ロードスター)用の5速マニュアルが組まれる。

ケータハム・セブン CSRトゥエンティ(英国仕様)
ケータハム・セブン CSRトゥエンティ(英国仕様)

リミテッドスリップ・デフは、オプションで指定可能。試乗車には付いていなかった。ケータハムによると、この方がバランスが良いという。

気になるお値段は、7万9995ポンド(約1560万円)から。エンジンなど、仕様はだいぶ変化しているが、20年前の倍以上になっている。そのかわり、中古車になっても値落ちしにくいはず。

シリアスなキャビン とても低い着座位置

キャビンは、特別仕様としてゴージャスに仕立てたと主張されるが、相対的なもの。シリアスな雰囲気は変わりない。シートは柔らかく、座り心地が良い。フロアにはカーペットが敷かれ、センターコンソールはソフトレザーで包まれている。

ダッシュボードはカーボンファイバー。アルカンターラが各所に用いられ、シリアルナンバーの入ったプレートが光る。荷室は、モヘアの内張りで仕立ててある。

ケータハム・セブン CSRトゥエンティ(英国仕様)
ケータハム・セブン CSRトゥエンティ(英国仕様)

ワイドシャシーだから、身長が高めの筆者でもコクピットは快適。ペダルボックスにも充分な空間がある。ペダルの間隔が離れていて、小ぶりなスニーカーを履いて挑んだのだが、ヒール&トウはしにくかった。

ステアリングホイールはモモ社製のレザー巻き。シフトレバーのストロークは、量産車最短といえるかも。正面には必要なアナログメーターと、ヒーターのスイッチ、12Vのソケットが整然と並ぶ。

ソフトトップは、指が痛くなる止め金具で固定する。これは、筆者が子どもの頃から変わらないが、新しいだけあって張りが強く雨漏りはしにくい。

フロントガラスの付け根には、曇らないように送風口がある。サイドミラーはドアに固定され、走行中の調整は難しい。4点ハーネスが標準装備で、着座位置はとても低く、対向車がロービームでもかなり眩しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

おすすめ

人気記事