ホンダN-BOXスラッシュ

公開 : 2015.02.04 23:40  更新 : 2017.05.29 19:09

さあ出発……というときに、『スカッ』と左足が奥に入った。いつものクセでパーキングブレーキを解除しようと左足でレバーを踏もうと思ったのだけど、本来あるハズのところにそれがない。なんとN-BOXスラッシュは、ホンダの軽自動車としては初となる電磁式パーキングブレーキを全タイプに標準装備。インパネ左下に備えられたボタンひとつでON/OFFを操作する。

そのほかフルオートエアコンやヒルスタートアシスト機能、ステアリングのアシスト量を変化させる機構などを標準装備。さらにオプションではシートヒーターやステアリングヒーターまで用意されるなど、軽自動車とは思えないほど装備が充実している。

実際に走り出してみると、動力性能そのものはいわゆるNシリーズに共通するそれだ。とくにターボモデルは2600回転で10.6kg-mという最大トルクを発揮するため、街中でのダッシュは非常に俊敏。ターボモデルにはパドルシフトも用意されているから、それを駆使してスポーティに走ることもできる。

スポーティな走行感覚といえば、とくにコーナリング時に「N-BOXスラッシュらしさ」が顔を覗かせる。ステアリング操作に対してどうしても1テンポ遅れて上屋が動くようなN-BOXに対し、N-BOXスラッシュは明らかにふんばり感が強い。トレッドやホイールベースは変わらないのに、これだけ路面をしっかりと捉えた走行感覚が味わえるのは、やはりルーフ高や車高が下げられ、専用のサスセッティングを与えられたことが大きい。

そしてもうひとつの要素は「視界」だろう。本来のチョップド・トップでは、ピラー部分を水平にカットするだけではルーフの前後長が合わない。しかしチョップされたAピラーに合わせてルーフを伸ばすと、スタイル的にはよろしくない。そこでアメリカのカスタムシーンでは、Aピラーの角度も大きく変更したりするのだが、N-BOXスラッシュではそれほどピラー角度は変えられていない。

その結果としてルーフ先端部の位置が前方に移動し、ドライバーにとっては「ひさし」のように感じられる独特の前方視界となっている。とはいえ頭上空間はもともと圧倒的な広さを誇っていただけに、室内空間の減少を体感するほどではないけれど。

■「買い」か?

前述のように、ホンダのNシリーズ第5弾となるN-BOXスラッシュ。Nシリーズの特徴として、常に後発のものは劇的な進化を遂げている。車種ごとに装備の違いはあるけれど、それらを差し置いてもクルマそのものの進化幅が大きく、悩んでいるなら最新のNシリーズがベスト、と言いたくなる。

スタイリングに関しては好みが分かれるかもしれないけれど、軽トールワゴンに漂う「所帯っぽさ」がイヤだという方にはN-BOXスラッシュは最適なチョイスとなるだろう。カラーリングやデザインに注目が行きがちだけれど、シート表皮やステアリング、シフトレバーなど手やカラダに触れる部分の質感は軽自動車のレベルを超越していると思うし、繰り返しになるけれど快適装備も充実している。

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