型破りな冒険マシン! アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(1) 流暢な没入体験

公開 : 2024.12.24 19:05

嗅覚でもドライバーを楽しませるノマド 2

M9号線を降り、一般道へ。左右にスコットランドの自然が広がる。ステアリングの反応はクイック。ダブルウイッシュボーンのサスペンションは、柔軟に路面へ追従する。

雨でぬかるんだ農場の敷地へ。カレドニアン・クリスマスツリー社を営む、アンナ・ブラック氏との約束がある。車重は715kgと軽いため、四輪駆動でなくても困らない。タイヤが目視できるから、カメラ映像で確認する必要もない。

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

毎年1万本ものクリスマスツリーが、ここから英国全土の園芸店へ出荷されているという。ノルドマン・モミ、ロッジポール・パイン、ノルウェー・スプルース、フレイザー・モミなど、実は多くの樹種がある。

この中で、ハッチソンがティリー島へ持ち込んだのは、ノルウェー・スプルース。一番美しい樹形のものを、広い植林地から時間をかけて選ぶことにした。

ノマド 2は、モミやスプルースが育つ森の中を進む。トラクションに不足はない。目が覚めるような、常緑樹の香りが鼻先へ直接流れてくる。運転へ没入できるマシンだが、嗅覚でもドライバーを楽しませてくれる。

高さ1.8mほどの1本に決め、ブラックから借りたノコギリで伐採。ノマド 2の助手席へくくった。きれいな三角形の先端が、パイプフレームから突き出ている。

鋭く反応するステアリングはリニアで狙い通り

ティリー島へ渡るフェリーは、スコットランドの西、オーバンという町から出ている。徐々に周囲は暗くなり、小雨が振り始める。約2時間、水浸しの道を走ることになった。

フロントガラスにはヒーターの風を当てられ、曇りとは無縁。トラクション・コントロールは7段階から選べるが、足取りは確かで、真ん中の設定でも不安感はない。しかしフロントは軽く、気を抜くと左右に進路が乱れがち。

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

アーン湖を巡る連続したカーブで、流暢な身のこなしを確かめる。鋭く反応するステアリングは、リニアで狙い通りだ。

今日のノマド 2には、1800ポンド(約35万円)のオプション、3モードECUが実装されている。最高出力は309psまで引き上げられるが、デフォルトの263psでも相当速い。

ブレーキはオプションのAPレーシング社製で、4ポッドキャリパーが組まれる。強力なうえに、制動力を調整しやすい。エンジンブレーキでも、効果的に速度を落とせる。

液晶モニターのメーターパネルと、赤いイグニッションボタンが眩しい。まだプロトタイプ段階で、調光機能は備わらないようだ。22時に、オーバンのホテルへ到着した。

翌朝7時に全長99mのフェリー、MVクランズマン号へ乗船。船内のカフェで朝食を取りつつ、マール海峡に登る朝日を雲の合間から拝む。イルカたちが、船を先導するように泳いでいる。

この続きは、アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ウェバー

    Richard Webber

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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