「一体感」を増すボディロール アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(2) 猛烈な中毒性

公開 : 2024.12.24 19:06

強風が吹くスコットランドのティリー島 100年前の冒険家にちなみ、ノマド 2でクリスマスツリーを運んだ英編集部 鋭いステアリングはリニアで狙い通り 中毒性の強い没入体験へ浸った2日間

ジェット機のような309psの加速力

イザベル・ワイリー・ハッチソン氏がクリスマスツリーを切り出した、マール島が左舷へ見えてくる。「郵便船が積む小麦粉の袋やいくつかの木箱の中で、長さ3.6mほどの樹木が揺れている光景は、珍しいものでした」。彼女が書き残している。

ティリー島に到着すると、彼女の説明通りだと見惚れる。「グリーンに覆われた土地は、砂が濡れた白いビーチに囲まれています。輝くような水面へ、雲や家屋が鏡のように映り込んでいました」

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

MVクランズマン号から、アリエル・ノマド 2を降ろす。潮の香りが風に乗ってくる。かつて馬車が走っていたであろう道は舗装されているが、路面は波打っている。道幅は狭く、グレートブリテン島よりスピード感が高い。90km/hでも、160km/h位に感じる。

このノマド 2には、オーリンズ社製の調整式ダンパーとアイバッハ社製のスプリングが組まれ、サーキットにも対応するとか。だが隆起部分では衝撃が強すぎ、6角レンチでソフトに調整。アスファルトの不整を、受け流すようにした。

今日の天気は悪くなく、路面は乾燥している。ECUのモードを切り替え、309psへ高める。その勢いは、ジェット機のよう。ブースト圧が高まるまで一拍あり、2000rpm辺りから怒涛のパワーが放出される。

排気音は図太く、アクセルオフで破裂音が混ざる。リアのサスペンションを沈めながら、ノマド 2は押し出されるように突進していく。

離島で運転するノマド 2には猛烈な中毒性

カーブではボディロールが小さくないが、正確なステアリングが頼もしい。荷重移動を全身で感じ取れるから、むしろ一体感を増してくれる。

ヘアピンカーブの手前で減速すると、フロントノーズが沈む。路面には僅かに砂が浮いており、回頭と同時にテールを軽く外へ流せる。ティリー島で運転するノマド 2は、まさに水を得た魚。猛烈な中毒性がある。

アリエル・ノマド 2(英国仕様)
アリエル・ノマド 2(英国仕様)

東から西へ島を縦断するのに、30分もかからない。どの道を選んでも、美しい浜辺へ繋がっている。

ハッチソンの時代は、砂浜は便利な道でもあった。「平らな砂地は、島民にとって最高の道路です。1日に2回、潮の満ち引きで綺麗に均される、最高の幹線道路。運んできた木は牧師に迎えられ、馬車に乗せられ、5kmほど先の小さな礼拝堂へ運ばれました」

その牧師たちの足跡を追うように、広大なゴットベイへ出る。ここは島最大の砂浜で、干潮時には300mも砂地が続くとか。

彼女が記したとおり、今でも表面はフラット。ノマド 2の轟音へ驚く素振りもなく、沢山の野鳥が遠くに群がっている。

表面に少し水が残る場所では、ステアリングホイールを強く握っていないと、タイヤが左右へ振られる。筆者と助手席のノルウェー・スプルースは、すっかり砂と海水まみれ。すべての馬力を開放することは、やめておいた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ウェバー

    Richard Webber

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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