全固体電池の現在地 2025年が決定的な年に 各メーカーのポジションは?
公開 : 2024.12.20 06:05
ホンダ
数週間前、ホンダは栃木県の研究開発拠点に全固体電池のパイロットラインを開設した。電解質を「ロールプレス」することで生産効率を高めるなど、さまざまな材料や生産工程を試す。1月から試験生産が開始され、2020年代後半までにハイブリッド車とEVへの採用を目指す。
トヨタ
トヨタは昨年、強い力がかかると割れやすい固体電解質の耐久性に関して「技術的ブレークスルー」を達成したと発表した。
現在、大量生産方法の開発に取り組んでおり、2027年か2028年の市場投入を目標としている。航続距離は1200kmを超え、10~80%の充電は10分以内に完了するという。
日産
日産は、2028年に全固体電池を搭載したクルマを発売するという目標を掲げている。
これが次世代のGT-Rになる可能性も十分にあるが、どのような形であれ、全固体電池を最大限に活用するように設計されるはずだ。
「全固体電池のようなものにコミットするからには、車両のメカニズムやアーキテクチャー全体を変えなければならない」と、同社の欧州研究開発担当上級副社長であるデビッド・モス氏は言う。パイロット生産工場は来年オープンし、セルのエンジニアリング作業は2026年に完了する予定だ。
BMW
BMWは昨年、米国のソリッドパワー社からパイロットセルを受け取ったが、その直後、2030年までに市販車に搭載される可能性は低いとの見解を示したと報じられている。BMW Mのフランク・ファン・ミール最高経営責任者(CEO)は以前、全固体電池が軽量な電動パフォーマンスカーを生み出す鍵になると示唆していた。
メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツはバッテリー製造の米ファクトリアル社と提携しているが、技術責任者であるマルクス・シェーファー氏は全固体電池の必要性を疑問視している。同氏は今年初め、ここ数年の液体リチウムイオンバッテリーの進歩により、「(全固体電池は)必要ないかもしれない」と述べた。メルセデス・ベンツは以前、2030年までに主力車種に全固体電池を搭載したいとしていた。
フォルクスワーゲン・グループ
世界第2位の自動車メーカーであるフォルクスワーゲン・グループは、米国の新興企業クアンタムスケープ社が開発した全固体電池技術の拡張に取り組んでいる。年間最大80GWh(100万台分に相当)の全固体電池を生産するライセンス契約を締結した。
まだ具体的なスケジュールは決まっていないが、その規模を考えると、全固体電池が次期ゴルフに採用される可能性もある。第9世代のゴルフは2028年に発売予定で、フォルクスワーゲンは他社と同じく2020年代後半の実現を視野に入れていると思われる。