次期メルセデス・ベンツCLA EQテクノロジーへ先行同乗 ツインモーターで約380ps 1.5L HVも

公開 : 2025.01.04 19:05

ドイツ名門ブランドの重要なポジションを受け持つ3代目CLA ツインモーターで約380ps 1.5Lハイブリッドも 印象的な回生ブレーキの能力 海抜2150mの雪道で試作車の助手席へ

海抜2150mの雪道で3代目CLAの助手席へ

オーストリアきってのスキーリゾート、ホッホグルグル。海抜2150mという高地で、12月上旬に訪れた時には、一面銀世界だった。到着した午前中の気温は、氷点下15度。ブラックアイスバーンが、静かに近寄る者を威嚇する。峠道は、通常は閉鎖されている。

ところが、メルセデス・ベンツの次期CLA開発を率いるオリバー・ゾルケ氏は、ヘアピンカーブへ普段と変わらぬ様子で突っ込む。テールが僅かに外へ流れる。

次期メルセデス・ベンツCLA ウィズEQテクノロジー(プロトタイプ)
次期メルセデス・ベンツCLA ウィズEQテクノロジー(プロトタイプ)

「こんな道を走るなんて凄いですよね」。極端な条件にあることを彼も認めるが、新型CLAの能力を筆者へ披露するのに、最適な場所でもあるという。回生ブレーキの性能とトラクションの高さ、登り勾配での加速、サスペンションのしなやかさがポイントだ。

まだプロトタイプだが、助手席へ座っている限り、このまま量産できそうに思える。実際、ボディはカモフラージュ・ラッピングで仕立てられ、ダッシュボードは真っ黒な布が覆っているものの、99%完成しているらしい。

宿題は少し残っているそうだが、2025年3月の発表には間に合うだろう。2023年に発表されたコンセプトカーと、シルエットは似ている。ダッシュボード全面に広がるモニターが、チラ見えする。

ツインモーターで約380ps 1.5Lのハイブリッドも 

今回乗せていただいたのは、CLA 4マティック・ウィズEQテクノロジー。フロントに108ps、リアに271psの駆動用モーターを積んだ四輪駆動となり、システム合計で380ps前後になると予想される。

これは、メルセデス・ベンツにとって「EV 2.0」世代となるパワートレインの1つ。現行の上位モデル、EQEEQSのものとは大幅に異なるらしい。

次期メルセデス・ベンツCLA ウィズEQテクノロジー(プロトタイプ)
次期メルセデス・ベンツCLA ウィズEQテクノロジー(プロトタイプ)

ツインモーターの他に、フロントモーターを省き価格を抑えた、シングルモーターの後輪駆動も用意される。駆動用バッテリーも2種類あり、LFPセルでは容量が58kWh。NMCセルの場合、85kWhになる。

また3代目には、1.5L 4気筒ガソリンエンジンと駆動用モーターを組み合わせた、ハイブリッドもラインナップされる。システム総合で190psを発揮し、燃費はディーゼルターボ並みになるとか。発売は、2025年の年末が予定されている。

試乗車は、約380psと強力な四輪駆動。ゾルケがアクセルペダルを踏んだぶんだけ、機敏に走る。ガラスのようにツルツルな路面で。カーブでラインが乱れても、不自然に引っ掛かるような制御が入らないのは、技術の仕上がりが最終段階にある証拠だろう。

パッソ・デルロンボと呼ばれる峠道は、ひたすらカーブが続くが、時々長い直線もある。CLAのフルパワーをゾルケが召喚すると、100km/h以上まで素早く加速してみせた。有能なスタッドレスタイヤも、大きく貢献していたと思うが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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