次期メルセデス・ベンツCLA EQテクノロジーへ先行同乗 ツインモーターで約380ps 1.5L HVも

公開 : 2025.01.04 19:05

ヒタヒタと落ち着いたまま正確に突き進む

実はこの3代目CLAへ乗る直前に、メルセデスAMG C 63で同じ区間を走っていただいた。同等のタイヤを履いた四輪駆動だったが、フロントノーズを狙ったラインに留めるのに、ゾルケは終始ステアリングホイールと格闘していた。

転じてCLAを運転する彼は、とても平静。「運転席では、余りすることはありません」。と微笑む。ヒタヒタと落ち着いたまま、まっすぐ正確に突き進んでいく。

次期メルセデス・ベンツCLA ウィズEQテクノロジー(プロトタイプ)
次期メルセデス・ベンツCLA ウィズEQテクノロジー(プロトタイプ)

周囲は真っ白で、直線でのスピード感は薄い。道路と山肌との境界はあいまい。車内は安定していて、50km/hでも150km/hでも、体感に大きな差はないかもしれない。

ヘアピンが接近しても、彼はまったく動じない。自分なら減速するであろうポイントを通過し、想像以上の速度で突っ込んでいく。回頭が始まり、アクセルペダルから完全に力が抜かれると、最大200kWの効率を持つ回生ブレーキが強力に効く。

「Dモードに入れている限り、摩擦ブレーキは必要ありません。回生は滑らかで、ほぼ感知できないと思います」

デモとして、彼はブレーキペダルを強く踏んでみせた。ABSが即座に介入し、ボディはガタガタと振動する。コンピューターは最善を尽くしたはずだが、回生ブレーキより減速が弱かったことは印象的だった。

CLA 4マティック・ウィズEQテクノロジーの場合、フロントモーターの方が回生エネルギー量は高いという。しかし後輪駆動のシングルモーターでも、摩擦ブレーキなしで停止できるそうだ。

課題は全高だった 驚くほどのオールラウンダーか?

サスペンションの柔軟性に関しては、どの程度なのか判断が難しい。それでも、過酷な雪道でノートにメモを取れたことを考えると、かなりフラットだったことは間違いない。エアスプリングの設定はなく、アダプティブダンパーはオプションとのこと。

電費は8.3km/kWhに達する。イタリア・ナルドの高速テストコースを24時間で3878.5km走行し、バッテリーEVとしての長距離記録を塗り替えた、エネルギー効率を宿す。急速充電は、最大320kWに対応するという。

次期メルセデス・ベンツCLA ウィズEQテクノロジー(プロトタイプ)
次期メルセデス・ベンツCLA ウィズEQテクノロジー(プロトタイプ)

「ゼロエミッション世代の1リッターカーです」。ゾルケは、新しいCLAへの自信を伺わせる。優れた動的能力や操縦性を融合させることは、大変な仕事だったことも認める。すべてを盛り込みつつバランスさせ、低いボディを維持している。

メルセデス・ベンツのバッテリーEVは、駆動用バッテリーの製造コストと体積を理由に、大きく高価なモデルラインが中心になってきた。しかし技術の進歩で、より小さく安価なモデルも可能になると、彼は続ける。

「課題は全高でした。バッテリーをフロア下に敷く空間が必要でしたが、スタイリング的には、従来のモデルと同等に抑えたかったんです。空力的にも」。ボディサイズは、2代目CLAと大きく変わらないように見えた。座面高も、殆ど違わないだろう。

正式な発表後には、ライバルなどとの比較試乗を考えている。だが既に、驚くほどのオールラウンダーになりそうなことは、垣間見れたといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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