生々しい感覚のスーパースポーツ マスタングとヴァンテージが輝くのは公道? BBDC 2024(5)

公開 : 2025.01.01 09:45

AUTOCARの年末恒例、最高のドライバーズカーを決めるBBDC選手権 GRヤリスにエメヤ、アルトゥーラまで多彩なノミネート 公道とサーキットで徹底比較 最高得点を掴む栄えある1台は?

理想的な生々しい感覚のスーパースポーツ

サーキットでの楽しさでは、元ロータス、アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツが、最新のロータス・エメヤを凌駕した。「高速コーナーでは衝撃的」。と笑うフランケルは、サーキット・ステージで2位に採点。彼以外の審査員も高得点を与えた。

「パワーに対してグリップしすぎる印象ですが、エリーゼはこれほどサーキットを豪快に走れなかったはず。攻めるほど良い。生々しい感覚は理想的で、本当に最高」。と振り返るレーンは、1位の配点を与えていた。

アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツ(英国仕様)
アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツ(英国仕様)

若干動きが渋いシフトレバーを、筆者も含め指摘する声はあった。それでも、スーパースポーツのダイレクトさを、誰もが深く気に入っていたようだ。

119psのエリーゼ S1との違いにも興味は及ぶが、アナログ・オートモーティブが高次元な仕事を達成したことは明確。2日目の夕方に配点を集計すると、サーキット・ステージで2位にランクインしていた。

これを超えた1台をご紹介する前に、下位から確認していこう。ただし、ノミネートした10台は、すべて精鋭。あくまでも2024年のBBDC選手権での順位だということを、ご理解いただきたい。

審査員を魅了しきれなかったプロトのM500

フォードマスタング・ダークホースは、充分に輝けなかった。「サーキットでは、動的な繊細さ、細かな部分での訴求力が及びません」。ソーンダースが口を開く。

「感触の薄いステアリングとATの印象が、表現力の高いライバルとの差を広げますね。バランスは良くて楽しいんですが」。とディスデイルが反応する。伝統的なマッスルカーとして、筆者は好意的に受け止めた。細かいことは笑い飛ばしたくなる、ワイルドさだ。

ノーブルM500(英国仕様)
ノーブルM500(英国仕様)

ノーブルM500も、サーキットでは審査員を魅了しきれなかった。プロトタイプ段階にある車両を、BBDC選手権のために準備してくれた、同社の技術者には敬意を表したい。燃料系統は完璧ではなく、シフトレバーのスプリングも未調整だった。

「ターボラグとトランスミッションの渋さは、サーキットで顕著に現れてしまいますね」。とフランケルは指摘しつつ、「ステアリングとシャシーバランスは素晴らしい。反応は機敏でグリップはエクセレント」。と長所にも触れる。彼の配点は低くない。

「シャシーはいい感じでした。ステアリングも悪くない。でも、それ以外の印象を踏まえると、強い好感を抱くほどではないかも」。バプラートが率直に話す。

ノーブルは、素晴らしいスポーツカーを提供するメーカーだ。M500がはらむ弱点のうち、幾つかは量産仕様までに修正できるだろう。だが、簡単には直せない部分も含まれていた。クルマとの一体感やダイナミックな心象は、間違いないのだけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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