公道で力を発揮できるFRのヴァンテージ

マスタングと同じくフロントにV8エンジンを積み、後輪を駆動するのが、アストン マーティン・ヴァンテージ。サーキットでは、好バランスを披露した。

「クラシックなFRですが、アクセルの加減でライン調整できる、稀有な存在ですよ」。バプラートが微笑む。ソーンダースは「もっと鮮明なフィードバックが手のひらへ伝われば・・」。と明かすが、それは筆者も同感だ。

アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)

高速コーナーでは多少の歩み寄りが必要だとしつつ、「アストン マーティンは頼もしい。マクラーレンと同じくらい速く感じましたよ」。とレーンは振り返る。実際のラップタイムでは、小さくない差が付いていたが。

ヴァンテージは、長距離移動が前提のグランドツアラー。閉ざされたコースより、長く続く公道で力を発揮するタイプといえる。

マクラーレン・アルトゥーラは、このサーキットで筆者1番のお気に入り。「マクラーレンらしい輝き。ステアリングは素晴らしく、ブレーキは完璧」。と、ディスデイルがこの気持ちへ相槌を打つ。

「ボディコントロールが緻密。パワーデリバリーは滑らかで、リミテッドスリップ・デフが自信を一層高めますよね」。確かに、従来のマクラーレンにはない水準で、強い信頼感を抱けたように思う。

ステアリングだけでなく、縁石へ乗り上げた際の落ち着きや、電気モーターが即時的に生むトルクにも胸が打たれたと、バプラートは認める。「運転体験の魅力度では、今回のノミネート車両の中では別次元かも」。ソーンダースも続ける。

サーキットも得意分野としたバギー

アリエル・ノマド 2も、サーキットで本領を発揮。ドライバーの気分次第で、どんなコーナーでも、望み通りのテールスライドを誘発できる。2日目の途中でハイグリップなタイヤに交換されてしまい、面白さは若干薄れたが。

「すぐに親しくなれて、性能を引き出せますね。大声で笑ってしまうほど面白い」。ディスデイルの意見に、同意しない審査員はいなかった。

手前からオレンジのアリエル・ノマド 2と、グリーンのアストン マーティン・ヴァンテージ、ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R、レッドのノーブルM500、ライトブルーのヒョンデ・アイオニック5 N
手前からオレンジのアリエル・ノマド 2と、グリーンのアストン マーティン・ヴァンテージ、ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R、レッドのノーブルM500、ライトブルーのヒョンデアイオニック5 N

従来のノマドが搭載していたホンダ由来のユニットへ、新しい2.3Lエンジンの特徴が届いていないことは、否定できないだろう。それでも、オフロードへ飛び込めるバギーでありながら、サーキットも得意分野としていることには唸らされる。

ノマド 2は一体感が強く、ライトウェイトでアナログ。2024年に渇望されている、キーワードではないだろうか。

果たして、公道ステージでのポイントを合算して選ばれた、頂上決戦へ挑むトップ3とは? ここから先は、レーンにお任せしよう。

この続きは、BBDC 2024(6)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BBDC 2024の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

おすすめ

人気記事