奥深さに驚くゴルフ R 秘めた魅力を顕にするエメヤ BBDC 2024(4) サーキット・ステージへ

公開 : 2024.12.31 09:45

AUTOCARの年末恒例、最高のドライバーズカーを決めるBBDC選手権 GRヤリスにエメヤ、アルトゥーラまで多彩なノミネート 公道とサーキットで徹底比較 最高得点を掴む栄えある1台は?

特長は天候不問な普段使いのしやすさ

英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権、2日目の早朝。キャドウェルパーク・サーキットは、日陰がまだ濡れている。2024年の審査員には、このコースが初めてだという人が多い。そんな時は、安定して走れそうな1台を選びたいと考えて当然だろう。

前日の予定の都合で、5時起きすることになった筆者、マット・プライヤーがまっ先に向かったのは、四輪駆動のフォルクスワーゲン・ゴルフ R。ミドシップで513psの、ノーブルM500を通過して。

手前からレッドのノーブルM500と、グリーンのアストン マーティン・ヴァンテージ、ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R、オレンジのアリエル・ノマド 2、ライトブルーのヒョンデ・アイオニック5 N
手前からレッドのノーブルM500と、グリーンのアストン マーティンヴァンテージ、ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R、オレンジのアリエル・ノマド 2、ライトブルーのヒョンデアイオニック5 N

フォルクスワーゲン最速のホットハッチとして、進化を重ねてきた8代目のゴルフ Rだが、天候不問な普段使いのしやすさに最大の特長がある。他の審査員と、希望が重なったとしても不思議ではない。

いざステアリングホイールを握ってみれば、その奥深さに驚くこととなった。コーナリングラインを調整しやすく、サーキットでは本当に楽しいのだ。

ジェームス・ディスデイルも、「機敏さや面白さはGRヤリスほどではないですが、想像以上にイイ感じ。トラクションは抜群で、アンダーステアは抑えられています。バランスが良くて、アクセルの加減でノーズの向きを選べますね」。と同意する。

前評判通り面白い電動のドライバーズカー

一方のトヨタGRヤリスは、ゴルフRより遥かに小さく、内装にはローコスト感が漂う。だが、普段使いしやすいホットハッチとして、今回の10台では最大のライバルになる。

アンドリュー・フランケルは、路面が濡れた時間帯に乗り比べて、どちらが好ましいか比較を試みた。「でも、このコンディションでは答えは出ませんね」。と苦笑いする。

トヨタGRヤリス(英国仕様)
トヨタGRヤリス(英国仕様)

しばらくして路面は乾燥。リチャード・レーンは、若干繊細さが足りないと感じたようだが、「そこがポイントかも。大体フルスロットルで突き抜けられるんですよ」。と笑う。確かに、入り組んだこのコースでも全開で走れる区間は長い。

次に触れるべきは、ハッチバックつながりでヒョンデ・アイオニック5 N。筆者はプロトタイプを試乗し、絶賛せずにいられなかった。だがBBDC選手権では、軽くない車重や人工的な技術が否定的に捉えられるのでは、とも考えていた。

それは杞憂だった。マット・ソーンダースは、「6割しか理解できていませんが・・」。とドライブモードの複雑さを前置きする。まったく疑問はない。数日だけでは、アイオニック5 Nの全モードを確かめることは不可能だ。

「Nモードにして、トルクをシフトさせながら、コーナリングのバランスを探っていけるのが面白い。能力の幅が広く、本当に速くて、ドライバーズカーとして楽しめますね。前評判通り」。と続ける。

「正確で高精度。でも、豪快ですね」。とは、イリヤ・バプラート。初試乗での感動を振り返りつつ、意のままだと付け加えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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