EVでも楽しいアイオニック5 N 全地形対応型のノマド 2 BBDC 2024(2) 公道ステージ
公開 : 2024.12.29 09:45
AUTOCARの年末恒例、最高のドライバーズカーを決めるBBDC選手権 GRヤリスにエメヤ、アルトゥーラまで多彩なノミネート 公道とサーキットで徹底比較 最高得点を掴む栄えある1台は?
バッテリーEVの走行を拒否 会場を一新
2024年の英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権の審査は、グレートブリテン島西部のウェールズ州ではなく、東部のリンカンシャー州での実施となった。サーキットも、ここにあるキャドウェルパークを選んでいる。
こんな変更は4年ぶりだが、われわれの提案で新たな場所を求めたわけではない。理由は、アングルシー・サーキットの管理者が、バッテリーEVの走行を認めなかったから。
万が一障害物と激しく衝突した場合、どんな事故へ発展するのか予想できないことを、不安視したためだった。2024年のノミネート車両の内、2台がバッテリーEV。有能なベスト・ドライバーズカー候補として、外すことはできなかった。
というわけで心機一転、キャドウェルパーク・サーキットでの印象が気になるところ。自ずと今回は、前年までとは少し異なる展開になることが予想される。
だが、比較試乗はリンカンシャー州の公道から。グレートブリテン島の走り込まれたアスファルト上で、10台はどんな動的能力を披露したのか。順に確認していこう。
ゼロエミッションでも運転を楽しめる救世主
ずらりと並んだ中で、特に目を引く存在が、ライトブルーに塗られ背の高いヒョンデ・アイオニック5 N。ハッチバックのようで、クロスオーバーのようでもある。過去の試乗では満点といえる評価を得ているが、その輝きは集団の中でも変わらないだろうか。
特長の1つが、唸るほどリアルに再現された、ギミックのエンジン音とトランスミッションの変速感。カーブを楽しい区間に変える、巧妙なディファレンシャルも与えられ、バッテリーEV時代における運転の楽しさを追い求めている。
幅広く調整できるドライブモードを理解するには、出発前の10分間では足りない。しかしモードを問わず、走り出せばアイオニック5 Nが驚くほど魅力的なことは瞭然だった。
電気的に再現されたトランスミッションは、ギミックだと懐疑的な人にも恐らく響くはず。アクセルペダルの加減に関係なく、ステアリングを切ればボディを中心に旋回していく。何度でも、カーブを巡りたいと思えるほど。
車重は軽くなく、荒れた路面では減衰力が追いつかなくなるが、バッテリーEVでも運転体験を諦める必要はないことが見えてくる。ゼロエミッションという、目新しさだけではない救世主といえる。
航続距離も充分。駆け回った夕方には、駆動用バッテリーは空になっていたが、エンジンで走る車両のガソリンタンクも、それに近い状態だった。寝ている間に充電すれば、翌朝には夢中の時間を再び過ごせる。