刺激的な「ブリティッシュ」トリオ! 異なる個性が生む充足感 BBDC 2024(6) 頂上決戦

公開 : 2025.01.02 09:45

AUTOCARの年末恒例、最高のドライバーズカーを決めるBBDC選手権 GRヤリスにエメヤ、アルトゥーラまで多彩なノミネート 公道とサーキットで徹底比較 最高得点を掴む栄えある1台は?

刺激的なブリティッシュ・トリオ

グレートブリテン島東部のリンカンシャー州に広がる公道と、キャドウェルパーク・サーキットでの得点を合算し、2024年のトップ3が選ばれた。この内の1台は、ドイツ製のV8エンジンを積む。もう1台のメーカーは、中東のバーレーンに本社を置く。

それでも、今回の英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権で勝ち残った3台は、すべて英国車だと表現できる。英国メディアとしては、誇らしい結果だと思う。

ブラックのアナログ・オートモーティブ・スーパースポーツと、グリーンのアストン マーティン・ヴァンテージ、イエローのマクラーレン・アルトゥーラ
ブラックのアナログ・オートモーティブ・スーパースポーツと、グリーンのアストン マーティンヴァンテージ、イエローのマクラーレンアルトゥーラ

36年間の歴史を遡れば、ケーターハムやロータス、マクラーレン、ノーブルモーガンアリエルヴォグゾールなど、英国ブランドが上位に食い込んできたが、これは前例がない。強豪ばかりの10台から、刺激的なブリティッシュ・トリオが選ばれた。

自国びいきでは?という懐疑心を膨らませるつもりはないが、4位のポイントを得たのも、英国のアリエル・ノマド 2。3位とは、かなりの僅差だった。

もしノマド 2が、高性能でも魅力で届かないフォード由来ではなく、ホンダ由来の4気筒エンジンを積んでいれば。充分に逆転していた可能性はある。トップ3に残ることが多いアリエルだが、2024年はそれを逃している。

選ばれし3台による最終選考では、それまでのポイントを見直し、改めてキャドウェルパーク・サーキットを走り込む。意見を交わし、2024年の優勝車を選り抜く。

本気で運転するほど驚きが増していく

1.8L 4気筒のKシリーズ・ユニットが奏でる鋭い響きに、3.0L V6ツインターボの甲高い咆哮、AMG由来の4.0L V8ツインターボが放つ図太い唸りが、辺り一帯へ充満する。それにしても、ここから1番を選ぶことは、簡単ではないと実感する。

ロータス・エリーゼがベースのアナログ・オートモーティブ・スーパースポーツに、ミドシップでハイブリッドのマクラーレン・アルトゥーラ、フロントエンジン・リアドライブのアストン マーティン・ヴァンテージ。個性が違いすぎるからだ。

アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツ(英国仕様)
アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツ(英国仕様)

公道でもサーキットでも、同じくらい訴求力は高い。それぞれのストロングポイントが、それぞれの喜びや充足感を創出している。

3台で最も積極的に乗られていたのは、小柄なスーパースポーツだった。ピットレーンへ戻ってくると、待っていた次の審査員へ交代され、すぐにコースインというルーティンが続いていた。

7200rpm以上までしっかり使い切り、さほど広くないサーキットを流暢に駆け回れる。まるでこのコースのために、特別に調整されたような印象すら筆者は受けた。

「本気で運転するほど、驚きが増していきます。もっとパワーがあっても、シャシーは受け止められそう。回転数を上げるほど、直線速度や旋回速度に結びつく感じ。勇気も必要ですが」。うっすら汗を書いた、マット・ソーンダースが笑顔を見せる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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