スーパースポーツ vs アルトゥーラ vs ヴァンテージ 順当な勝利か番狂わせか? BBDC 2024(7)

公開 : 2025.01.03 09:45

背徳感混じりの無敵気分に満たされる

アルトゥーラとは異なる魂を見せつけたのが、アストン マーティンヴァンテージ。BBDC選手権の最終審査へ、このブランドが勝ち残るのは久しぶり。エレガントなスタイリングだけでなく、特徴的な動的能力で乗り手を強く魅了した。

姿勢制御のタイトさでは、対峙する2台に敵わない。しかし積極的にコーナーへ飛び込み、カウンターステアを当てながらの豪快な脱出は、フロントエンジン・リアドライブならではの喜びだろう。

アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)

21世紀初頭なら、この仕上がりは絶賛に値した。665psの最高出力とクイックなステアリング、太いタイヤの接地面積が高度に融合した、歴代最高のヴァンテージに違いない。

ストレートでの速さは、アルトゥーラと遜色なし。コーナーでは、悪ふざけも許容する。フロントアクスルはしっかりラインを掴み、リアタイヤはドライバーの意図通りに遊ばせられる。素晴らしいバランスにある。

イリヤ・バプラートが端的に表現する。「今回のノミネート車両では唯一、本当に自然なオーバーステアを楽しめますよね」

ラグジュアリーなシートへ身を委ねていれば、快適至極。だがその直後、右足を傾けた途端に怒涛のパワーを召喚でき、背徳感混じりの無敵気分に満たされる。

技術的な水準でいえば、確かにミドシップ・レイアウトには一日の長がある。とはいえ、リンカンシャー州の公道で経験した喜びは、他を圧倒するものだった。優勝の文字が頭にちらつくほど。

番狂わせを最新ヴァンテージは成し遂げる?

2023年のBBDC選手権は、優勝候補と目されていたポルシェ911 GT3 RSを破り、ランボルギーニウラカン・ステラートがトップに輝いた。過酷な気象条件が、オフロードに対応したシャシーへ味方したカタチで。

しかし同時に、しなやかなサスペンションとイタリアンなスピリット、エンターテイメント性の高さは見事としかいいようがなかった。そんな番狂わせを、最新のヴァンテージが再び成し遂げるのだろうか・・。

アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンテージ(英国仕様)

この続きは、BBDC 2024(8)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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