シトロエンC3の低価格プラットフォーム、C4など上位車種にも導入 販売に弾み

公開 : 2024.12.23 06:05

シトロエンは新型C3で採用した「スマートカー・プラットフォーム」を、次期C4などCセグメント車にも適用する方針だ。コストを抑えて低価格化を実現し、販売に弾みをつける狙いだ。

価格重視のモデル展開

シトロエンは新型車のコスト削減を目指し、上位モデルにも価格重視のスマートカー・プラットフォームを積極的に使用する方針だ。新車価格が上昇を続けている中で、不要な機能を省くなど低価格化に注力する。

ブランドCEOのティエリー・コスカス氏はAUTOCARの取材に対し、大型のモデルも、シトロエンC3がスマートカー・プラットフォームで実現したような低価格化の恩恵を受けるだろうと語った。

シトロエンC3は新開発のスマートカー・プラットフォームをベースとしている。
シトロエンC3は新開発のスマートカー・プラットフォームをベースとしている。

同氏は、将来的にスマートカー・プラットフォームを拡張してCセグメント車(C4サイズ)に採用することについて「限界はない」とし、これは「我々が追求したい方向性」であると強調した。

「我々がBセグメント(C3サイズ)で、適切なレベルの機能を備えたベーシックカーの必要性を訴えてきたように、いつかCセグメントでも同じことをするだろう。車内の広さと価格の手頃さを求めている家族向けだ。より大型のモデルを作ることも可能で、ぜひ挑戦してみたい」

コスカス氏によると、新型C3とe-C3をはじめとするスマートカー・プラットフォーム採用車は、最初にコストを設定し、次に各コンポーネントに予算を割り当てるという方法で設計されているという。

「開発を始めたとき、どれだけの費用がかかるかを全員が把握していた。各コンポーネントには目的と目標があった。全体的に取り組まなければ、うまくいかない。目標コストを達成するには、あらゆる要素で全員に目標を定め、全員に説明責任を持たせる必要がある」(同氏)

こうした考えは、ライバルブランドであるルーマニアのダチアを意識したものだ。ダチアも同様の方法で車両開発を行い、低価格化を追求している。2025年に初めてCセグメントに参入し、中型SUVのビッグスターを投入するというブランドの動きに影響を受けたようだ。

コスカス氏はC3の仕様について、顧客が望んでいない、あるいは必要としていないものを詰め込み過ぎてコストが上昇しないよう、慎重に検討されたと述べている。

「このセグメントで人々が何を期待しているかを考えると、テクノロジーを満載する必要はない」

この簡素化されたアプローチは、シトロエンが今後のモデルでも追求していくものであるとコスカス氏は付け加えた。ダチアと同様に、シトロエンもこのようなクルマに対する需要があると確信している。

無駄を省いた本質的なクルマ

シトロエンは、より「本質的」なアプローチによって価格を引き下げる方法として、コンセプトカー「Oli」を例に挙げている。

「クルマの価格は上昇しているが、人々がクルマに費やせる金額は増えていない。EVはさらに深刻で、人々により高価なクルマを買うようを求めている状況だ」

シトロエン「Oli」コンセプト
シトロエン「Oli」コンセプト

「装備を充実させながら、シンプルで本質的な製品に戻ることが、我々にとって絶対に必要だと考えている」

コスカス氏は、今後数年のうちに市場の一部でこの傾向がトレンドになるだろうと予測し、「すべてのブランドがそうなるわけではないが、市場では一定の位置を占めるだろうし、我々もそこを狙っている」と述べた。

欧州の安全規制に関しては遵守する姿勢を示したものの、「安全に関する規制はますます厳しくなっている」とコスカス氏は述べ、ユーロNCAPが独自の要件を追加しようとしていることに対する自動車業界内の不安をほのめかした。

「各国の安全規制や欧州委員会の規制を満たすため、すでに多くの機能や装備などを追加しなければならない。それが我々の仕事だ」

2025年は成長路線

シトロエンの2024年の欧州市場シェアは前年同様、約3.5%になると予想される。

コスカス氏は、「厳しい市場環境の中で安定化できたことは、非常に満足している」と述べた。特に今年は、主力であるC3のモデルチェンジがあり、約3か月間生産が停止していたためだ。

2025年は、C3の販売が1年間続き、C4がマイナーチェンジし、新型のC5エアクロスが登場するなど、「シトロエンにとって花火のような出来事」が続き、成長路線に戻れるだろうとコスカス氏は期待を語る。目標は市場シェア4%超えだという。

新型C5エアクロスについては、洗練された設計と部品調達のスマート化により、ライバルに対してコスト面で優位に立てると考えている。シトロエンとしては唯一、フランスのレンヌ工場で生産されるモデルであるため、さまざまな融通が効くようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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