古豪復活なるか? 愛するランチアの行方【新米編集長コラム#12】

公開 : 2024.12.22 07:05

救われたランチアのファン心理

私は2006年にランチア・イプシロン・モモデザインを新車で購入し、現在も所有している。その前はデルタHFインテグラーレ16Vという、20年来のランチア乗りである。だから一時期、この業界関係者でさえも『ランチアは消滅した』と勘違いして書くほどの状況に、長年歯がゆい思いをしてきた。そんな心理が救われたのだ。

タバレス退任の影響が出るのは、早くても再来年。2026年のガンマまでは、若干の軌道修正があっても普通にデビューさせるはずだ。ということは、その先に控えている4代目デルタが不透明になる可能性がある。

筆者が2006年に新車で購入したランチア・イプシロン・モモデザインの近影。
筆者が2006年に新車で購入したランチア・イプシロン・モモデザインの近影。    平井大介

乗り味やパフォーマンスの差を出しにくい100%EVにおいて、元々プラットフォームを共有する同じグループ内の車両をベースに、ちょっと高級に仕立ててきたランチアは、その歴史的強みを生かせる可能性があると思っているのだが、無責任に『ブランドを存続させよ』と書くつもりは毛頭ない。

現在ランチアは日本へ正規輸入されておらず、今後もディーラーの設備投資を考えれば現実的ではない。しかし周囲のイタリア車乗りたちの間では、それでも新型イプシロンを入手しようという動きがあり、私も状況を注視している。だから『存続せよ』ではなく、『存続して欲しい』という祈りの気持ちを、ここに文字で残しておくことにしよう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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