ジャガーF-タイプ R AWDクーペ
公開 : 2015.02.05 23:50 更新 : 2017.05.29 18:38
■どんなクルマ?
路面は雨でじっとり濡れている。いつものF-タイプRクーペならばたちまち足元をすくわれるはずなのに、スリップもなければ混乱もまったくない。
いつもの轟音と速さは健在なのに、冷静さを保ち続けられているのは、紛れもなく4WDのおかげである。
4WDに置き換わったことによるビジュアルの変更はごくわずか。AWDと書かれた控えめなエンブレムに、エンジンを10mmリフトアップした影響でボンネット・ラインがわずかに高くなっているのみにとどまる。
オートマティック・ギアボックスの脇で電子制御クラッチが設置されるため、ほんのわずかにセンター・コンソール側の足元のスペースは制限される。ただその4WDのおかげでフロント・ホイールのトラクションは基準のF-タイプRクーペよりも格段に高まっている。
4WDグレードが選択できるのは⒌0ℓのRモデルと、ミドル・グレードの3.0ℓのV6 S。ベースの3.0ℓ V6は後輪駆動のみとなる。
以降すべてのF-タイプは油圧アシストから電気アシスト・ステアリングに置き換わる予定ではあるけれど、ジャガーをジャガーたらしめる、なめらかかつ切れ味鋭いステア・フィールはそのまま引き継がれている。
さらに朗報。2016年モデルからは、後輪駆動のV6とV6 Sの2モデルにはマニュアル・ギアボックスも選べるようになる。
■どんな感じ?
乗ってすぐに4WDの恩恵を受けることができる。後輪駆動のときよりも明らかにトラクションが増し、そのお陰でさらなるパワーが流れこんでくる。
それ以外のシチュエーションではほとんど後輪駆動のモデルと変わらない印象。前輪の駆動力を完全にゼロにすることもできるので、後輪駆動モデルから4WDに乗り換えても違和感はない。
電制クラッチは、アクセル・ペダルやステアリングから行う入力のわずかながらなニュアンスをとてもよく理解している。同時に足元のトラクションもきちんとモニターしているおかげで、絶妙なタイミングでフロントにもトラクションを与えてくれる。