【話題の主役はBEV】ディーゼルとAMGに新型メルセデス・ベンツGクラスの本質を見た!

公開 : 2024.12.23 11:05

新型メルセデス・ベンツGクラスといえばやはり、BEVのG580 with EQテクノロジーに話題が集中しますが、同時にマイナーチェンジした内燃機関モデルも注目です。ディーゼルのG450dとAMGのG63に西川昇吾が試乗しました。

定番グレードのディーゼルとAMGも電動化

現在、メディアで話題とされることの多い新型メルセデス・ベンツGクラスといえば、4モーターで駆動するBEVであり、Gターンという飛び道具を持つG580 with EQテクノロジーのほうだが、定番グレードであるディーゼルのG450dとAMGのG63もマイナーチェンジを果たしている。

今回のマイチェンにおいて、メカニズムで最も大きな変更点はISGシステムが搭載されたことによる電動化だ。今やメルセデス・ベンツの多くのモデルに搭載されているISGは、端的に言えば48Vのマイルドハイブリッドシステム。BEVだけでなく、内燃機関がメインとなるディーゼルとAMGでも電動化したことは、Gクラスの歴史の中でも大きなトピックだ。

メルセデス・ベンツGクラスがマイナーチェンジし、ディーゼルとAMGモデルもアップデート。写真はG63。
メルセデス・ベンツGクラスがマイナーチェンジし、ディーゼルとAMGモデルもアップデート。写真はG63。    神村聖

各種装備も一気に現代的になった。音声認識を備えた車載インフォテインメントシステムのMBUXを始め、スマートフォンのワイヤレス充電、リモコン操作がいらないキーレスゴーなどが初採用。正直、他のモデルでは当たり前となっている装備ばかりだが、このタイミングでようやく採用になったあたり、Gクラスが耐久性や信頼性を第一に考えたヘビーデューティなモデルであることを改めて認識させられる。

オフロードでの扱いやすさを感じるG450d

まずはGクラスの本流と言える、ディーゼルエンジンを搭載したG450dにオフロードで試乗した。G450dは3.0Lの直6ターボエンジンを搭載し、オフロードに合わせて専用チューニングした9速ATを組み合わせる。最高出力367ps、最大トルク750Nmというスペックだが、3.0Lでこの最大トルクを発生させるのは驚くばかりだ。

同日試乗したG580ではBEV特有のどこからでもトルクフルな特性が有利に働いていると感じたが、G450dも低速からのトルクは十二分。筆者のようなオフロード経験の少ないドライバーでも、急斜面を楽々クリアできる。

ディーゼルモデルとなるG450dはオフロードコースで試乗。
ディーゼルモデルとなるG450dはオフロードコースで試乗。    神村聖

これはパワーユニットそのものがトルクフルであるのはもちろん、トランスミッションが優秀なのも大きな理由。タコメーターを見ればオフロードに合った駆動特性になっているのがわかり、欲しいトルクがすぐに出てくれる印象だ。トルクバントも広く、慣れないオフロードでのアクセルワークも難しいと感じさせない。

徐々にスロットルを開けていき、通常ならディーゼルエンジンが唸るようなシチュエーションでも高い静粛性を維持し、振動も少ない。今やフラッグシップサルーンのSクラスにも直6ディーゼルが採用されているから、この静粛性とシームレスさは当然かもしれないが、『ディーゼルのクロカンモデル』と考えるとちょっと驚き。パワートレインに求められる特性が特殊なオフロードだからこそ、現代のメルセデス・ベンツが持つ洗練さが光って見えるのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    西川昇吾

    1997年、富士スピードウェイのほど近くに生まれる。必然的に、モータースポーツとともに幼少期を過ごす。当時愛読した自動車雑誌の記憶に突き動かされ、大学時代から自動車ライターとして活動を開始。卒業後、動画系の自動車媒体に所属したのちフリーとして独立。地元の地の利を生かし、愛車のNBロードスターでのサーキット走行や、多彩なカテゴリーでのレース参戦を積極的にこなす、血気盛んな若手モータージャーナリスト。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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