【アルファードとレクサスLMに挑む!】新型メルセデス・ベンツVクラスがライバルに勝る部分とは
公開 : 2024.12.24 11:45 更新 : 2024.12.24 12:06
日本でミニバンといえばトヨタ・アルファードとレクサスLMの2台が大きな存在感を放っています。一方、それに対抗できる輸入車といえば現在、メルセデス・ベンツVクラス一択かもしれません。そのマイナーチェンジモデルに西川昇吾が試乗しました。
日本の巨人たちに挑むドイツの高級ミニバン
ミニバンは日本で大きく発展したジャンルで、ファミリーカーの代表的存在だ。しかし優れた乗降性と広い室内空間を理由に、今や高級ミニバンは世界のセレブリティにも人気を博している。その背景には、技術の進化により、バン形状のボディスタイルであっても上質な乗り心地と高い静粛性が実現できるようになったことがある。
ただ、このジャンルは特にトヨタ・グループ2台の存在感が大きい。最近はハイヤーなどショーファードリブンとしてトヨタ・アルファードが採用されることが珍しくないし、レクサスからはアルファードと基本コンポーネントを共有する、より上級なLMが登場した。他にもラインナップはあるが、高級ミニバンと言えばこの2台が代名詞的存在となっている。
そんな巨人とも言える2台に対して、輸入車で現状唯一と言える対抗モデルが、『メルセデス・ベンツVクラス』だ。2024年10月に発表されたマイナーチェンジでは、よりショーファードリブンとしての性格を強めた変更が行われた。メルセデス・ベンツというブランドのキャラクターとボディスタイル&サイズを考えれば、正当な方向性と言える。
最大のポイントはエアサスペンション採用
今回のマイナーチェンジにおける最大のポイントは『エアマチックサスペンション』であろう。これは全5グレード中、標準ボディの『V220d』以外に採用された。全長は『V220d』が4895mm、『V220dロング』が5140mm、『V220dエクストラロング』が5370mmとなり、ロングとエクストラロングには標準グレードのほか、ショーファードリブンとしてのキャラクターを深めた『プレミアムスイート』が用意される。
このプレミアムスイートの特徴は何といっても2列目に、『エクスクルーシブシート』が標準装備されることだ。リクライニングやヒーター&ベンチレーションといった機能はもちろん、オットマンやリラクゼーション機能も備わり、さらに折り畳み式テーブルも付いてくる。他にもナッパレザーやアルミニウムインテリアトリムの採用などが目を引く。
例の巨人たちを上まわる感動があるか?
試乗したのは、エアサスペンションを装着しているV220dロング。試乗コースはアスファルトの継ぎはぎが多かったが、そのような路面でもリアからの突き上げ感は抑えられていて、乗り心地は比較的良好な印象。ただ、例の巨人たちを大きく上まわる感動があるか? と言われると正直微妙だ。振動の収束や突き上げ後のフラットな印象は、国産ミニバン勢の方が強いと感じた。
完成度の高さを感じたのはパワートレインだ。2.0Lディーゼルターボエンジンと9速ATの組み合わせは、ディーゼルであることを忘れるほどシームレスで静粛性が高い。また車重は2.5トンを超えているが、それを苦と思わせずに走り、低回転からトルクが十分にある。ショーファードリブンに相応しい要素もしっかりと持っていて、重いこのクルマにピッタリだ。
さらにいい意味で予想を裏切られたのが高速での安定性。全高が高いにもかかわらず、直進安定性を中心に、ミニバンとしては高速域でのスタビリティが高く感じられたのだ。これはアウトバーンの国出身なのも理由だろうが、3200mmもある長いホイールベースが大きく影響しているはずだ。高速道路で快速な高級ミニバンが欲しい人にはお勧めと言える。
このジャンルにおいては日本車がパイオニアであるため、ライバルたちに対して、特に価格を含めた総合的な性能で上まわるのはなかなか難しい。ただ、Vクラスには他の高級ミニバンにはない魅力があり、その価値を感じられる人にとっては有力な選択肢となるはずだ。