【世界を震撼させた熱狂の歴史】三菱ランサーエボリューション10世代11車種を全網羅!

公開 : 2024.12.26 11:45

1992年に初代が登場し大反響となった三菱ランサーエボリューションは、10代目まで続く大人気モデルとなりました。ここでは、フルローンを組んで初代と2代目を新車で購入したことがある木原寛明が、全モデルを振り返ります。

初代は初めて(フルローンで)買った新車

今や中古車価格も高騰して気楽に手に入れることは出来なくなったが、筆者が自動車媒体の編集者になって初めて(フルローンで)買った新車が、『三菱ランサーエボリューションI』、そして2台目が翌年の『ランサーエボリューションII』である。

当時は「こんな派手で速いクルマで一般公道を走っていいのか!?」と不安になったほどインパクトは強烈。その後はありがたいことに仕事で全モデルに試乗できたが、『ランエボIX MR』の切れ味鋭い走りも印象的だった。ここではエボIからエボXまで、ランエボの進化の過程を振り返ってみることにした。

1992年に初登場した三菱ランサーエボリューション。その後、10世代続く名車となった。
1992年に初登場した三菱ランサーエボリューション。その後、10世代続く名車となった。    三菱

ランエボことランサーエボリューションは、世界的なラリーへ積極的に参戦していた三菱が、ラリーマシンのホモロゲーションモデルとして1992年に発売。以降、ラリー参戦終了後も進化を続け、本流モデルが10代目まで続いたほか、派生モデルも登場する人気銘柄となった。

今や欧州を中心に、400ps級モデルも存在する2.0Lターボ4WDカテゴリーだが、かつては日本車の牙城であり、その先鞭をつけたのがランエボであることは間違いない。量販実用車をベースに、メーカー自ら競技にも耐えるようチューニングした車両を『エボモデル』などと呼ぶようになったのも、ランエボに由来するところが大きいだろう。

ランエボの核心的な技術要素といえば、ひとつは電子制御を駆使した4WDシステム、もうひとつが4G63型1997cc直4エンジンだ。4G63は1979年、東京モーターショーに参考出品された『ランサーEXラリーターボ』に搭載されたG63Bとして登場。その後、スポーツモデルから実用車まで幅広く搭載されたが、頑丈なスチールブロックは1980〜90年代の技術でも300ps級のチューニングを可能にした。

ランエボ用ユニットは250psでスタートし、ランエボIVで当時の自主規制値である280psに到達している。ただしランエボXでは、ダイムラー・クライスラーなどと共同開発したワールドエンジンのバリエーションである4B11型へ変更された。

三菱の技術の粋を集め、世界的に日本車の優秀さを示したランエボ。それではモデルごとに、その歴史を振り返ってみよう。

三菱ランサーエボリューションI(1992年)

1992年9月、初代ランエボが発売された。ランサーEX以来、6年ぶりにWRCへ投入されたランサーは、改造範囲の狭いグループAを戦うべく、1.8Lまでしか設定のないベース車に、5シーズンを戦ったギャランVR-4譲りの4G63ユニットと4WDシステムを移植。

そのためベース車とは、フロントバルクヘッドより前方がほぼ変更されている。街乗り向けのGSRと競技ベースのRSが設定され、スペックは250ps/31.5kg-m。当初は型式認定に必要な2500台の限定販売を予定していたが、人気の高さを受け販売台数は7628台に達した。

三菱ランサーエボリューションI(1992年)
三菱ランサーエボリューションI(1992年)    三菱自動車

記事に関わった人々

  • 執筆

    木原寛明

    Hiroaki Kihara

    1965年生まれ。玉川大学では体育会ノリの自動車工学研究部に所属し、まだ未舗装だった峠道を走りまくった。最初の愛車(本当は父のもの)は2代目プレリュード(5MT)。次がフルチューンのランサーEXターボ。卒業してレースの世界へと足を踏み入れたものの、フォーミュラまで乗って都合3年で挫折。26歳で自動車雑誌の編集部の門を叩き、紙時代の『AUTOCAR JAPAN』を経て、気が付けばこの業界に30年以上。そろそろオーバーホールが必要なお年頃ですが頑張ります!
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事