洒落た「見た目通り」スポーティ! プジョーe-308へ試乗 ほどよく小柄・軽快な電動ハッチバック

公開 : 2025.01.14 19:05

洗練度が高いパワートレイン 操縦性も強み

それでは、グレートブリテン島の公道へ出てみよう。4万ポンド(約780万円)のお値段へ期待するほど加速は鋭くないものの、洗練度が非常に高く扱いやすいのが美点。e-308の0-100km/h加速は、9.8秒だ。

駆動用モーターの156psをすべて引き出すには、スポーツ・モードを選ぶ必要がある。この状態なら、高速道路では速度を調整しやすく、一般道でもキビキビと駆け回れる。興奮を誘うほどではないけれど。

プジョーe-308 アリュール(英国仕様)
プジョーe-308 アリュール(英国仕様)

回生ブレーキの強さは固定。そのかわり、電費はこのクラスでは良い方に入る。今回の試乗では、起伏の多い区間を積極的に運転して、7.0km/kWhを得られた。一方で、急速充電は最大100kWまでで、速いわけではない。

現実的な航続距離は360km程度となり、よりバッテリー容量の大きいメガーヌ E-テック・エレクトリックより遠くを目指せるといえる。回生ブレーキを切り惰性走行できることが、高効率に繋がっているのかもしれない。

スタイリングと見合うように、操縦性はスポーティ。少しお高めの価格を、ある程度納得させる強みといえる。このクラスとしては軽い側にある車重と、グレートブリテン島のアスファルトに調整されたようなシャシーで印象は良い。

ちなみに、サイズの近いシトロエンe-C4と比べると、車重は120kg以上重い。こちらはeCMPプラットフォームを基礎骨格にするのに対し、e-308はEMP2プラットフォームを採用しているためだ。

乗り心地はしなやか 軽快で直感的な操舵感

路面からの隔離性に優れ、乗り心地はしなやか。それでいて姿勢制御には締まりがあり、安定性も高く、機敏に身をこなす。転がり抵抗を優先し、グリップ力が犠牲になったような印象もない。

低い位置に載る駆動用バッテリーのおかげで、ステアリングホイールには適度な重さが伴う。その結果、プジョーの中でも特に操舵感は軽快で直感的。カーブを意欲的に楽しめるとまではいえないものの、充足感を得られる。

プジョーe-308 アリュール(英国仕様)
プジョーe-308 アリュール(英国仕様)

Cセグメント・クラスでも、電動のライバルは増える一方。その中にあって、乗り心地や操縦性、スタイリング、インフォテインメント・システムなど、e-308のストロングポイントは少なくない。

他方、英国では少し予算をプラスすれば、テスラモデル3が視野に入る。航続距離は、1万ポンド(約195万円)以上安いMG 4 EVの方が長い。
バッテリーEVのファミリー・ハッチバックでは、完璧な1台はまだ存在しないかもしれない。強みはこのまま、実用性を増し航続距離が伸びれば、e-308はそこに該当する可能性はある。しかし、車重が増えると現在の美点へ影響が出てしまうはず。

◯:コンパクトなサイズと魅力的な操縦性 スタイリッシュなスタイリング 快適な乗り心地と引き締まった操縦性
△:よりお手頃なライバルがある 後席側の空間は平均より狭め 短めの航続距離と速くはない急速充電能力

プジョーe-308 アリュール(英国仕様)のスペック

英国価格:4万50ポンド(約781万円)
全長:4367mm
全幅:1852mm
全高:1441mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:9.8秒
航続距離:379-429km
電費:5.6-6.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1684kg
パワートレイン:ハイブリッド同期モーター
駆動用バッテリー:51.0kWh
急速充電能力:100kW
最高出力:156ps
最大トルク:27.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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