シームレスなハイブリッド! ホンダHR-V(ヴェゼル) e:HEVへ英国試乗 低グレードが高コスパ

公開 : 2025.01.09 19:05

英国で好調なヴェゼルがアップデート シームレスな1.5Lハイブリッド 走りの印象を濁すe-CVT 乗り心地はソフト志向 広い乗員空間 エントリーグレードが高コスパ 英編集部が評価

英国で人気のヴェゼル 1.5Lハイブリッド

コンパクトなクロスオーバー、HR-V(ヴェゼル)は、グレートブリテン島でのホンダの売れ筋モデル。2024年に、欧州市場では1万7761台が売れているが、その内の7404台が英国市場でさばかれている。

この人気を維持するため、堅実なアップデートが施された。プジョー2008ルノー・キャプチャー日産キャシュカイ(旧デュアリス)など、ライバルも軒並み最近改良を受けており、気は抜いていられない。

ホンダHR-V(ヴェゼル) e:HEV アドバンススタイル・プラス(英国仕様)
ホンダHR-V(ヴェゼル) e:HEV アドバンススタイル・プラス(英国仕様)

ボディの変化は、かなり控えめ。フロントグリルの外形は、丸みを帯びたものから角ばったものへ変更され、フロントバンパーとサイドシルの形状にも僅かに手が加えられた。ヘッドライトの表情はシャープさを増したが、見比べれば気づく程度だろう。

英国仕様では、パノラミック・ガラスルーフと大胆なデザインのアルミホイールが標準になるトップグレード、アドバンススタイル・プラスが追加されている。今回試乗したヴェゼルも、3万7995ポンド(約741万円)のそれだ。

ただし、ホワイトのルーフとシーベッド・ブルーパール塗装はオプション。650ポンド(約13万円)が上乗せになる。

英国で選択できるパワートレインは、前輪駆動の1択のみ。1.5L直列4気筒・自然吸気ガソリンに2基の電気モーターが組まれたハイブリッドで、システム総合130psと25.8kg-mを発揮する。

シームレスなハイブリッド 印象を濁すe-CVT

300馬力超えのモデルが珍しくない2025年に、130psは控えめな数字に見えるものの、実際に走り出してみると、このサイズのファミリー・クロスオーバーには充分。普段使いで、力不足を感じることは殆どないはず。

市街地をゆっくり走る場面でも、高速道路を快調に流す場面でも、電気モーターと内燃エンジンの切り替えはシームレス。メインの駆動用モーターは、低い速度域で特に効果を発揮する。トルク特性を活かし、HR-Vの加速を支えてくれる。

ホンダHR-V(ヴェゼル) e:HEV アドバンススタイル・プラス(英国仕様)
ホンダHR-V(ヴェゼル) e:HEV アドバンススタイル・プラス(英国仕様)

このハイブリッドは好燃費で、カタログ値は18.5km/L。今回は市街地から高速道路まで複合的に走らせてみたが、実際にこの効率へ迫ることができた。40Lのガソリンタンクで、700km以上は走れると考えて良い。

そんなHR-Vの運転体験を若干霞ませるのが、e-CVTと呼ばれるトランスミッション。パワーバンドを有効に活かすことは可能だが、加速時は回転数が予想より上昇することがある。少し勢いが欲しい場面でも、必要以上に回るように感じられた。

その結果、気張っているエンジン音が車内へ届いてくる。今回のアップデートで防音材が追加されたというが、そのノイズまでは隠しきれていない。スピードが落ち着けば、外界の隔離性が僅かに高まったことがわかるが。

乗り心地は全般的にしなやか。市街地では、細かな凹凸が均され快適。一方で、60km/h程度の速度域になると、ボディロールが目立ち始める。大きめのツギハギを超えると、バウンドするような上下動が残る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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