【噂が早くも現実に】ホンダ、日産、三菱が経営統合に向けた協議開始

公開 : 2024.12.24 07:05

ホンダ、日産、三菱の各社社長が12月23日、都内で会見を開き、『3社協業形態の検討に関する覚書を締結した』と発表しました。記者会見に参加した桃田健史が、まずは概要を解説します。

2026年8月に共同持株会社を上場することを目指す

噂が現実のモノになった。日本の自動車産業界における大きな変化が起こったのだ。

本田技研工業(以下、ホンダ)、日産自動車(以下、日産)、そして三菱自動車(以下、三菱)の各社社長が12月23日、都内で会見を開き、『日産、ホンダと三菱、3社協業形態の検討に関する覚書を締結した』と発表した。

12月23日、都内で会見を開き、『日産、ホンダと三菱、3社協業形態の検討に関する覚書を締結した』と発表。
12月23日、都内で会見を開き、『日産、ホンダと三菱、3社協業形態の検討に関する覚書を締結した』と発表。    日産自動車

これは、同日に発表した『日産とホンダの経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結』をベースとしたものだ。

発表によれば、ホンダと日産は2025年6月を目処に、共同持株会社を設立するための最終契約書を締結する予定だ。そこから1年2ヵ月後の2026年8月に、共同持株会社を東証プライム市場に上場することを目指す。

共同持株会社の上場に伴って、ホンダと日産は上場を廃止する予定で、現在の両社の株主は本株式を移転することになる。三菱については、ホンダと日産との経営統合に合流するかどうかを、2025年1月末日までに決める。ただし、ホンダの三部敏宏社長は、今後の協議次第では経営統合が「上梓しない可能性はゼロではない」とも表現した。

時計の針を少し戻すと、ホンダと日産は3月に『電動化・知能化に向け、戦略的パートナーシップの検討を開始する覚書』を締結。その延長上として8月には『次世代SDVプラットフォームに関する基本的要素技術の共同研究契約』を締結している。

そうした2社の関係がさらに進化した形が、経営統合だったというわけだ。

7つ領域でシナジー効果を想定

実際、三部社長も、日産の内田誠社長も経営統合検討に至る経緯を、次世代自動車産業における電動化と知能化の重要性を上げ、2社が各領域でワーキングチームを組んで検討を進めてきた中で、経営判断が必要にあったという説明だった。

経営統合によって想定されるシナジー効果について、大きく7つを挙げた。これらを順に見ていきたい。

今年の3月から既に協業については議論が公にされていたが、そこからの前進は想像を上回るものだ。
今年の3月から既に協業については議論が公にされていたが、そこからの前進は想像を上回るものだ。    日産自動車

1つ目が、車両プラットフォームの共通化によるスケールメリットの獲得だ。

これを、さまざまな商品セグメントで幅広く共通化するという。スケールメリットによって、原価低減はもとより、開発効率を上げる。さらに生産プロセスの共通化によるコスト削減を狙う。

そう聞くと、実質的には生産工場の統廃合を連想するが、三部社長も内田社長も、既存の生産工場で両社の得意分野モデルがあるため、それを効率良く運用するとの発言に止めた。

2つ目は、研究開発機能の統合による開発力向上とコストシナジーの実現だ。

今年3月、そして8月からの2社協議の中で、すでに次世代SDV(ソフトウェア・デファインド・ヴィークル)向けのプラットフォームや、次世代EV向けのe-アクスルでの協業については議論が進んできた。それをさらに大きく前進させて、研究開発機能全体を統合することを視野に入れるというから、驚きだ。

ホンダも日産もそれぞれ、独自技術を強調したクルマ造りを貫いてきた企業だけに、研究開発で完全統合するとなると、開発現場、サプライヤー、そしてユーザーに対する影響は計り知れない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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