唯一の「卵型」ボディ! ウーヴォ・フェラーリ(1) アマチュアドライバーが追求したスピード

公開 : 2025.01.11 17:45

リアタイヤへ近いことで動きを感じ取れる

フランコはスケッチを描くだけでなく、機械の開発に関する知識にも長けていた。一説では、フォンターナがボディを成形したといわれているが、実際は敷地の一角を貸しただけらしい。デッサンから金属の加工まで、フランコが1人で進めたと考えられる。

「風の抵抗を最小限にする、角度の付いたフロントガラスが必要でした。フランコは航空業界で働いていた経験を有し、理想的な方法で実現させました。驚いたことに、運転の妨げになる映り込みはありませんでした。視界は素晴らしいものでしたよ」

ウーヴォ・フェラーリ(1951年/ワンオフモデル)
ウーヴォ・フェラーリ(1951年/ワンオフモデル)

こう発言しているジャンニーノは、全体が丸みを帯び絞られた、非常に低い形状が特長だと捉えていた。細いパイプが巧妙に溶接され、フレームを構成。表面のパネルには、成形が難しいものの軽量・強固な、ペラルマン・アルミニウム合金が採用されている。

フロントガラスとルーフを支える、左右のピラーを設けなかったことも、運転席からの広い視界へ貢献した。湾曲したガラスは、スチール製のケーブルでボディパネルへ固定されている。

「運転席は、かなりリアアクスルへ寄せられています。エンツォ・フェラーリさんは、ドライバーがフロントタイヤへ近い位置に座ると、運転しやすくなるものの、コーナリング時のスライドを感じにくくなるため、危険だと説明していました」

ジャンニーノは続けて述べている。「リアタイヤへ近づいて座ることで、動きを感じ取ることができます。その結果コーナーで敏捷になり、パワーの展開時にも鋭く反応できるようになるんです」

この続きは、ウーヴォ・フェラーリ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームズ・ページ

    James Page

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ウーヴォ・フェラーリの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事