ライバルはルノー5! ニオ(Nio)が低価格EVブランド「ファイアフライ」公開 欧州に重点

公開 : 2024.12.24 18:05

中国のニオは新ブランド「ファイアフライ(Firefly)」の第一弾のプロトタイプを公開した。ハッチバックタイプの小型EVで、3灯式ライトなど個性的なデザインを採用。手頃な価格を武器に、欧州での販路拡大を狙う。

本国では約315万円から発売

中国の自動車メーカーであるニオ(Nio)は、低価格EVに焦点を当てた欧州向けの新ブランド「ファイアフライ(Firefly)」のプロトタイプを発表した。

現時点では車名は伏せられているが、「小型スマート高級EV」と銘打たれた電動ハッチバックで、BYDドルフィンルノー5 Eテックのライバルとなるだろう。

ニオが展開する新ブランド「ファイアフライ」の第一弾プロトタイプ
ニオが展開する新ブランド「ファイアフライ」の第一弾プロトタイプ    ニオ

まず4月に中国市場で発売され、その後まもなく欧州でも発売される予定だが、具体的な導入時期はまだ定かではない。欧州連合(EU)とは異なり、中国製EVに追加関税を課していない英国で最初に発売される可能性がある。

中国での価格は1万6000ポンド(約315万円)相当からだが、欧州ではさらに高くなりそうだ。それでも、EVとしては低価格であることは間違いない。

3つの円からなるヘッドライトとリアランプなど、ライバル車とは一線を画す個性的なデザインが採用されている。かつてBMWフォードに勤めた経験もあるデザイン責任者のクリス・トマソン氏は、「良いものはすべて3つセットになっている」と語った。

また、空気抵抗を抑えて航続距離を確保するために、ショートオーバーハングとわずかに傾斜したルーフラインを備えている。仕様の詳細は未公表だが、画像では、タッチスクリーンを中心とする合皮張りの内装や電動調整シート、死角カメラなどの装備が確認できる。

デザインについてトマソン氏は、「シンプルでありながら象徴的なもの、すなわち蛍(英:Firefly)から着想を得た。ホタルは小さく、活気に満ち、人を魅了する。それが我々のデザインのDNAの基礎となった」と話す。

特徴の1つに、量産EVとして最大級の92Lの容量を誇るフランクがある。比較すると、テスラモデル3の容量よりも5L大きい。さらに排水機能も備わっていることから、ニオの会長であるウィリアム・リー氏は冗談交じりに、魚も収納できると宣言した。リアのトランクスペースはまだ確認されていないが、後部座席を折りたたむと最大1250Lまで拡大できる。座席を立てた状態では、ルノー5の277Lと同程度になると思われる。

最高出力、航続距離、バッテリーサイズなど、パワートレインや性能の詳細はまだ発表されていないが、交換式バッテリーが採用される可能性もある。ニオは以前、小型EV向けのバッテリー交換プラットフォームを開発中であることを明かしている。しかし、専用の交換ステーションのネットワーク構築という課題があり、ニオの欧州展開が遅れている主な要因となっている。

ニオによると、このモデルの最小回転半径は4.7mで、都市部での使いやすさに重点を置いているという。

同社の年次イベント「Nio Day」で、リー氏はファイアフライについて「より幅広い層にサービスを提供するための手段」であり、創業10年のニオに新たな顧客をもたらすものだと述べた。

また、同氏は「ファイアフライブランドが蛍のように人々の好奇心を刺激する」と展望を語り、「蛍はどこにでもいる。我々は世界中の人々のために最高の小型車を造りたい」とした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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