英製スポーツ・クラシックの「ド定番」 MGBに代わる1台を選ぶ(1) 残った髪を風になびかせて

公開 : 2025.01.12 17:45

英国スポーツ・クラシックの定番:MGB 同等の予算で選べる、対抗馬的モデルは? 運転の楽しさで劣らない個性派は? ランチアにポルシェ、プジョーまで 英編集部が5台を選出

英国スポーツ・クラシックの定番:MGB

この話題へAUTOCARではしばしば触れてきたが、特定のカテゴリーを定義する傑作が、殆どの場合は存在する。スーパーカーならランボルギーニカウンタック、ヴィンテージ・クラシックなら、ル・マン24時間を戦ったベントレーではないだろうか。

それでは、ブリティッシュ・スポーツのクラシックなら? 由緒正しきMGBといえる。大勢のドライバーへ、古いクルマと暮らす喜びとほろ苦さを、教え続けてきた1台だ。

MGB(1965〜1980年/英国仕様)
MGB(1965〜1980年/英国仕様)

ただし、こんなイメージはだいぶ前に確立されたものでもある。2025年においても、やはりベストの1択といえるだろうか。そこで英国編集部では、MGBに変わる選択肢を考えてみることにした。

条件の1つは、純粋な運転の楽しさを有すること。もう1つは、状態が悪くはないMGBを英国で探す時に必要となる、1万7000ポンド(約332万円)以内の予算で購入できること。これ以上の金額を費やすことは、現実的でもない。

実用性や部品の入手のしやすさ、クルマ好き同士で話題になる特徴など、共通する評価基準も設けてみた。自動車業界の大転換期にある2025年、素敵な1台をガレージに収めてみるのも、悪くない過ごし方ではないだろうか。

英国人に長く愛され続けてきたロードスター

まずは、今回のお題となったMGBから確認していこう。英国ではド定番のクラシックといえ、今回採点してみたクルマ好きの話題性では、低い点数を与えている。しかし、そんなことは気にしないで欲しい。

この小さなロードスターが、英国人に長く愛され続けてきた理由こそ、目立たず慣れ親しんだ存在だから。恐る恐る手を伸ばす必要はなく、クラシックカー初心者を歓迎してくれる、優しく大規模なコミュニティーがグレートブリテン島では形成されている。

MGB(1965〜1980年/英国仕様)
MGB(1965〜1980年/英国仕様)

時代遅れになっていたMGAを置き換えるように、1962年に登場したのがMGB。ロンドンから西に離れた、アビンドンの工場で働いていた人たちは、大ヒットを予想していたのだろうか。

容姿はハンサムで、実用性は低くなく、走りはスポーティでありながら価格は比較的お手頃。スチール製のモノコック構造で、先進的なパッケージングにあった。

エンジンは、MGA譲りのスチール製。プッシュロッド式のオーバーヘッドバルブで、Bシリーズと呼ばれる。排気量は1798ccへ拡大され、メインベアリングは当初3枚だったが、1964年式からは5枚になり耐久性が向上した。

最高出力は96psと、際立つものではない。だが軽量で、160km/h以上まで軽快に加速できた。

サスペンションは、前がレバーアームダンパーを備えるウイッシュボーン式。後ろはリーフスプリングのリジットアクスルという、ベーシックな構成だが、ブレーキは前にディスクが奢られている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アラステア・クレメンツ

    Alastair Clements

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

MGBに代わる1台を選ぶの前後関係

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