英国で一番忙しい? 日産の巨大工場でクリスマス 休みの日も設備アップグレード
公開 : 2024.12.25 18:25
欧米でクリスマス休暇が始まっているが、休みの間、自動車工場は何をしているのだろうか。日産の英国サンダーランド工場では、設備アップグレードのために担当者が準備に追われていた。
自動車工場は休みの日に何をしている?
パソコンの電源を切り、電気を消して、冷蔵庫にミルクを残さないようにする。クリスマス休暇なので、仕事とはお別れ。また来年。しかし、オフィスよりもずっと大きな場所を後にするとしたらどうだろう。例えば、自動車工場など。
英国の自動車業界ではこの時期の休みを「クリスマス・シャットダウン(Christmas shutdown)」と呼んでいる(これ以上に適切な名称はない)。サンダーランドに工場を持つ日産の場合、その期間は2週間である。今年は12月21日(土)から1月5日(日)まで。
生産ラインを止めるにはどうすればいいのか? 電源を切る大きな赤いボタンを押して、ベルトコンベアをガタガタと震わせながら停止させ、組み立て作業員を作業半ばで宙ぶらりんの状態にするのだろうか?
「ちょっと違います」と、サンダーランド工場の生産ディレクターであるリー・ワトソン氏は言う。彼は1999年に日産に入社し、当時新発売されたばかりのアルメーラの生産に携わり、その後順調に出世して、自動車の生産について多少なりとも経験を積んできた。
「そうではなくて、午前7時の日勤シフトからラインを空ける作業を開始し、同日の夜勤シフトの終了間際の午後10時頃まで続きます。ボディショップでは午前10時半頃から空にする作業を始め、それが生産ライン全体に徐々に広がり、最終検査に至ります」
これで1つの誤解が解けた。もう1つの誤解は、工場から人がいなくなり、2週間も暗闇に包まれるというものだ。「工場はシャットダウンで進歩するのです。シャットダウンをしなければ、技術を刷新することはできません。また、設置、点検、交換を行うために停止する期間を設けないと、改善は決して望めません」とワトソン氏は説明する。
そのため、彼が留守の間(必要であればすぐに戻れる態勢ではある)、少なくとも1年半前から用意していた整備計画に基づき、400人ほどの下請け業者が工場に集結し、次の生産サイクルに備えてラインを整備する。
「生産ラインと聞いて人々が思い浮かべるのはチェーンです。チェーンもありますが、ライン自体は進化し、変化しています。さまざまな速度で移動するクルマに対応しなければなりません。そのため、シャットダウン中に新しい生産ラインを設置し、既存のラインに接続することもあります」
「例えば、この工場では夏期の2週間のシャットダウン期間を利用して、次期リーフ用の新しいバッテリー・アセンブリ・ステーションを設置しました。今年のクリスマスには準備が整うようにしますが、稼働するまでは他のモデルがそのステーションを使わず通過できるようにします。また、今回のシャットダウン中に、新型車のボディサイド用のレーザーとロボット溶接を導入します」