英国で一番忙しい? 日産の巨大工場でクリスマス 休みの日も設備アップグレード

公開 : 2024.12.25 18:25

秒単位でラインを調整する難しさ

ワトソン氏と従業員が計画しなければならないことの1つに、生産ラインに「ギャップ」を設けるかどうか、また設ける場合はどこで設けるか、というものもある。

「ラインを完全に空にしない場合は、2~3台の車両をラインから移動させ、ギャップを設けることで、エンジニアがワークステーションや設備にアクセスできるようにします」

長期休暇の間は、生産設備の設置や改修が行われるという。
長期休暇の間は、生産設備の設置や改修が行われるという。

「単純な話に聞こえるかもしれませんが、生産のタイミングを秒単位で調整しなければなりません。シャットダウンしたとき、設けたギャップが適切な場所に収まるようにするためです」

今年のクリスマスには、生産ライン2を「新型バッテリーカー」に対応できるようにアップグレードすることもワトソン氏の仕事の1つとなる。これは、次期リーフを意味する工場内での用語と思われる。

ギャップを設ける作業は、電車のドアが自分の目の前で停まるように駅のプラットフォームでどこに立つかを考えるのに似ている。つまり、ワークステーション75で3台分のギャップを必要とする場合(各ラインには1000以上のワークステーションがある)、ライン75がライン1からどれだけ離れているかを計算し、シャットダウンでラインが停止したときにギャップが適切な場所に来るようにしなければならない。

「準備するのは悪夢ですよ。しかし、大規模な設置作業を行わない限りは、ラインのギャップは便利です。ただし、シャットダウン中はラインを固定しておかなければなりません。そうすれば、再起動時にすぐにクルマを作れます」

再起動の前に、ワトソン氏のチームがラインを確認し、すべての設備が適切に機能しているかをチェックする。当然のことながら、休暇から戻って来る4000人の組み立て作業員は、多少ウォームアップが必要だろう。また、新しい設備に慣れる必要もあるかもしれない。

最初のシフトでは、ラインは通常よりもゆっくりと稼働する。その後はフル稼働となり、2025年には新型キャシュカイジューク、そして間もなく新型リーフがラインから次々と出荷され始める。そしてワトソン氏は、2027年のクリスマス・シャットダウンに向けて準備を開始する。

記事に関わった人々

  • ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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