ハードの仕上がりは素晴らしい! ボルボEX90へ試乗 操縦性・快適性は優秀 ソフトのアプデに期待

公開 : 2025.01.11 19:05

XC90と併売される電動SUV、EX90 エヌビディア社製半導体を実装 スカンジナビアンな内装 当初は407psか517psのツインモーター 優れたオンロード能力 英編集部が評価

エヌビディアの半導体で毎秒250兆回の演算

2002年の初代と同様に、2014年に発売された2代目XC90にも長いモデルライフが与えられる。プラットフォームやエンジン、スタイリングに至るまで、ジーリー・ホールディングス傘下となったボルボの新時代を、これまで力強く牽引してきたSUVだ。

フェイスリフトを経て、更に数年は販売が続く見込み。これと併売されるのが、まったく新しいEX90。ボディサイズが近い、ボルボ最新の技術を導入した3列シートのSUVで、ブランドの未来を指し示す1台といえる。

ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)
ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)

プラットフォームは、電気自動車用に開発されたSPA2。フロア部分に107kWhの駆動用バッテリーを敷き、ツインモーターにも対応する。全長は5037mm、全幅が1964mm、全高が1744mmあり、BMW iXより大きい。

ボルボが強みとして主張するのが、高度な計算能力。実装されるエヌビディア社製の半導体は、毎秒250兆回の演算処理ができるとか。

近年しばしば耳にする、ソフトウエアがクルマの性能や特徴を左右する、ソフトウエア・ディファインド・ビークルの先駆けといえる。アップデートを繰り返すことで、機能を高い状態へ保つことを可能としている。

ただし、現状では対応しない機能が多い。アップル・カープレイは2025年の前半に追加予定。アンドロイド・オートも、しばらくは利用できない。フロントガラス上部のレーザーセンサー、ライダーも、現時点では周囲のデータを収集するだけらしい。

スカンジナビアンな内装 大人でも快適な3列目

インテリアは、スカンジナビア流のプレミアム感に満ちている。iX級の驚きはないものの、全体的には上質に仕上がっている。観察すると、10万ポンド(約1950万円)超えの価格に不釣り合いな、コスト削減の痕跡も見えてくるが。

巨大なガラスサンルーフには、ブラインドがない。リアウインドウの開閉スイッチや、ステアリングコラムの調整レバーなども省かれている。シートの角度調整は、復数の機能が割り振られたノブで操作する。

ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)
ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)

少なくとも、ドライバーの正面には小さなメーター用モニターがある。ヘッドアップ・ディスプレイも標準装備。シートは座り心地が良く、運転席からの視界は良好だ。

ダッシュボード中央のモニターは、14.5インチ。グーグルの技術を利用した、インフォテインメント・システムが稼働する。グーグル・アカウントでログインすれば、グーグル・マップの登録情報などをEX90で確認できる。プライバシーの懸念はあるけれど。

グラフィックは美しい。モニターの下部には、車両設定やエアコン、ホーム画面のアイコンなどが固定表示されるエリアが設けられている。

その上部には、ユーザーの利用履歴に応じて変化するショートカットが並ぶ。ただし、必ずしも期待通りの項目が表示される訳ではない。筆者の場合、メニューを辿ることが多かった。

車内空間は、ボディサイズなりに広い。3列目でも、大人が快適に過ごせるだろう。荷室容量は3列目を起こした状態で310L。それを倒し2列構成にすれば、655Lへ広がる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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